研究課題
この研究の目的は次の2つである。1.各大学の入試、とくに学力筆記試験の実施状況を調査・分析する。2.入試問題を、教科・科目ごとに調査・分析し検討する。今年度の研究実績を、上記の目的別に記すと次のようになる。1.前年度末に全国の国公私立大学に発送したアンケ-ト調査(受験者数、出題者数、採点者数、採点日数などを、学部別、科目別に調査)の回答率は約65%(国立大81%、公立大58%、私立大61%)であった。この回答結果と、文部省などより入手した資料を利用して分析を開始した。最終的な結果はまだ得られていないが、現在までに次のようなことが判明している。a.国立大と私立大を比べると、私立大では文系の科目(国語、社会)が多く出題され、受験者数も国立大に比べて多いのに対し、理系の科目(数学、理科)では差はそう大きくないことが数字的にはっきり示されいいる。これは私立大学では文系の学部の比率が大きいのに対し、国立大では理系の学部が多いことによるものと思われる。b.出題者数、採点者数は、私立大よりも国立大の方が多い。採点日数は私立大の方が多いが、差はそう大きくはない。c.受験者数別(学部の規模別)に調べると、出題者数、採点者数は受験者数とともに増加しているが、採点日数の増加はそう大きくはなく、頭打ちの傾向が見られる。2.各科目の入試問題の分析は、主として国立大と私立大との比較に重点をおいて各分担者によって進められている。私立大の問題には、概して採点し易いもの(穴うめや多肢選抜型)が多いことが数字的に現れており、また安易な出題も多いように思われる。出題分野の年次変化などについても、調査が進められている。