研究課題
本年度は2回の研究集会(平成2年5月、平成3年1月)を開催し以下のような知見を得た。1.国立大学、公立大学、私立大学、国立短期大学、公立短期大学、私立短期大学、及び男女別にグラビティ・モデルによる進学者の分析を行うことにより、高等学校の卒業生数、大学・短期大学の収容力、高等学校と大学・短期大学や大都市圏との距離などの変数によって、進学に伴う地域間移動を十分説明できることが示された。2.『学校基本調査』と『学校教員統計調査』を用いて、「教職の女性化」を検証した。その結果、(1)女性教員の比率は、小・中学校で若干の増加をみたが、高校ではほとんど変化がなく学校段階間の「性分業」は固定化の方向にある。(2)女性教員にとって校長職はいまなお遠い距離にあり、とくに高校段階の輩出率は際だった低下を続けている。(3)採用教員に占める女性の割合は、小・中学校では毎年低下を続けており、高校も相変わらず低い水準にある。(4)しかしながら、都道府県による違いはかなり大きく、特定の性別構成が不可避性をもたないことを示している。(5)都道府県による採用教員の差異は、学校段階によって違った要因によって説明される。つまり、小学校=「教員採用試験倍率」、中学校=「経済水準」、「男子の専門・技術職需要」、高校=「在職教員の性別構成」、「教員採用試験倍率」、「女子の高等教育水準」がそれぞれ女性比率を左右する社会的要因として働いていることが示された。
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