研究課題
分析対象校として、国立中・高等学校については文部省を通して入試問題を入手した学校(中学校は入試実施校29〜35%、高等学校61〜85%、入手割合は教科により異なる)、私立中・高等学校については日本私学教育研究所を通して入試問題を入手した学校(同じく、中学校8〜10%、高等学校7〜8%)を分析の対象とした。また、国・公・私立の小・中・高等学校教員56名の協力を得て分析を行った。なお、分析の視点は、基本的には「学習指導要領の範囲を逸脱していないかどうか」に置いた。教科によっては、「問題の難易度」「内容領域」「回答時間」「内容のバランス」などについても分析を行った。さらに、昨年度の分析対象校の中から今年度も抽出された学校のデ-タのみを取り出し、2ケ年の比較を行った。主な分析結果として〈学習指導要領の範囲を逸脱していないかどうかという視点からの分析〉を示すと次のとおりである。学習指導要領の範囲を逸脱した問題を出題した学校の比率は、中学入試で社会を除く各教科とも私立中学校のほうが国立中学校よりも高い。高校入試では、国語・数学・社会については私立高校のほうが国立高校よりも比率が高いが、英語については逆に国立高校のほうが私立高校よりも逸脱校の比率が高い。教科別に見ると、中学入試では国立中学校は国語5%、算数15%、理科37%、社会0%、私立中学校は国語45%、算数27%、理科78%、社会0%の学校が逸脱した問題を出題しており、国立中学校・私立中学校ともに理科の比率が他の教科よりも高い。高校入試では国立高校は国語0%、数学0%、理科46%、社会0%、英語55%、私立高校国語8%、数学17%、理科47%、社会13%、英語47%の学校が逸脱した問題を出題しており、国立高校・私立高校ともに国語・数学・社会の比率が低いのに対して理科・英語の比率が高い。