ヒトゲノムプログラムの推進に関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01102032
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 松原 謙一 大阪大学, 細胞工学センター, 教授 (20037394)
• 研究分担者: 石浜 明 国立遺伝研学研究所, 教授 (80019869) ; 金久 實 京都大学, 化学研究所, 教授 (70183275) ; 大木 操 埼玉がんセンター, 部長 (00158792) ; 清水 信義 慶応大学, 医学部, 教授 (50162706) ; 榊 佳之 九州大学, 遺伝子情報解析施設, 教授 (10112327)
• キーワード: ヒトゲノム研究 / ヒトゲノム解析 / cDNAライブラリ- / DNA解析技術 / 大量生物遺伝情報の科学 / 各種生物ゲノム / 研究環境・研究体制 / 将来計画策定

研究概要

ヒト・ゲノムの構造・機能の全体像の解明を最終目的とした国際的共同研究の始動に伴い、我国における対応できる態勢の確立、研究方針の策定、研究体制の整備充実を図る必要が生じた。本研究は、1989年と1990年を目途としてこれらの諸要請に応えるべく、関連研究者を広く組織して5つの班を構成し、各々の活動を開始する状況を作り出した。それと共に各班の主要メンバ-による研究連絡会議を編成し、全体的統一を図りつつ将来計画策定作業を開始、年度末に第一次提案を提出すべく活動中である。5つの班は下記の分野をカバ-するように設定した。(1)ヒトゲノムの物理的遺伝的解析。いくつかのヒト染色体を対象とし、全体的な物理的地図の作製、巨大のDNAのクロ-ンライブラリ-の作製等に関連する方法論の開発。(2)cDNAのライブラリ-のヒトゲノムプログラムへの応用。特に良質のcDNAライブラリ-を各種の臓器から作製し、大量に解析するための方法論。(3)DNA解析に不可欠な要素技術の画期的改良を指向する研究の推進。特に生物学分野のみでなく、多分野研究者の組織化を図ってこれを行うこと。(4)ヒトゲノムの解析によって生じる大量情報の収蒐・蓄積・解析に必要な情報科学の拡大と推進。(5)ヒト以外の生物のゲノム解析を、基礎デ-タ作りに関連する分野で推進。
これらにつき先導的研究を開始すると共に、研究現状の調査、研究者の組織化、研究環境と体制の整備を開始した。同時に各々の領域における先導的研究を、当面各班内交流を中心に開始すると共に、第一回ヒトゲノム研究に関するワ-クショップを開催、広く一般研究者にも情報交流の機会を開放した。各班代表者を含むタスク・グル-プ会議を本年度内に9回開催し、第一次将来計画の策定作業を急ピッチで進行させつつあり、年度内に報告書を提出する予定である。

研究成果

• [文献書誌] 松原謙一,他: "ヒト・ゲノムプログラムの推進について" 学術月報. 42. 226-231 (1989)
• [文献書誌] Minoshima,S.,Kawasaki,K.,Fukuyama,R.,Maekuma,M.,Kuduh,J.and Shimizu,N.: "Isolation of Giant DNA Fragments From Flow-Sorted Human Chromosomes" Cytometry. 11. (1990)
• [文献書誌] Misao Ohki and Cassandra L.Smith: "Traking bacterial DNA replication forks in vivo by pulsed field gel electrophoresis" Nucleic Acid Res.17. 3479-3490 (1989)
• [文献書誌] Seto,Y.and Kanehisa,M.: "Repeat sequences of amino acids suggest the origin of protein Bull." Inst.Chem.Res.Kyoto Univ.66. 461-468 (1989)
• [文献書誌] Ishihama,A.,Fujiyama,N.,Igarashi,K.and Ueshima,R.: "Structural and functional modulation of Escherichia coli RNA polymerase,In:Structure and Function of Nucleic Acid and Protins" Raven Press, New York. (1990)