研究課題
本調査研究の目的は、将来の技術に共通する基盤となる基礎技術(いわゆるジェネリック・テクノロジ-、以後「共通基盤的技術」という)の研究事例を調査し、その発生の背景を解析すると共に、大学等の役割と貢献の実態を調査することにある。本年度は2年計画の1年目であるので、共通基盤的技術の定義付け、類似の概念との関連、及び、対象となる技術について調査を行った。すなわち、定義としては、(1)あるブレ-クスル-を実現し、広範かつ永続的な異議をもつ基本的技術、(2)既存技術を画期的に改善し、既存技術に(1)似云う技術と同等な生命を与えた技術、(3)世界の技術の基準・標準となる装置の開発・デ-タの蓄積、(4)きわめて普遍的な生産技術、のいずれかとした。この定義の下で、共通基盤的技術の例を、2つの方法により調査した。(1)科学技術庁官賞等、賞を授与された技術のうち、上記の定義に合致すると見られるものの抽出(2)国公私立大学の工学部長、大学院研究科の長、及び研究所長に、当該部局において発生した上記の定義による技術の推薦の依頼。現在調査結果を集計中であり、来年度以降これらの中から、適当と考えられるものを選抜し、その背景の具体的調査に入ることとする。上記の定義及びそれに基づく事例を、日米科学技術協力協定の高級諮問会議に提案し、共通基盤的技術という言葉を提案した米国側委員の意見を求めた。その結果、日米両国において、今後引続き調査を進めることとなった。