研究課題
本調査研究の目的は、将来の技術に共通する基盤となる基礎技術(いわゆるジェネリック・テクノロジ-)の大学等における研究事例を調査し、その発生の背景を解析すると共に、大学等の役割と貢献の実態を調査することにある。本年度は2年計画の2年目であり、研究が終了したので、以下に研究成果報告書の内容を要約する。第1章「米国におけるジェネリック・テクノロジ-の概念について」では、ジェネリック・テクノロジ-という言葉の米国における意味を、文献及びNSF等との接触により調査した結果、この言葉は学術的ではなく政策的な意味で「製造業における技術革新に対する政府援助の必要性に関連して、基礎研究とは異なり商業化の意味の大きい技術」として主としてワシントンにおいて使われていることが明らかになった。第2章「ジェネリック・テクノロジ-の具体例」では、ジェネリック・テクノロジ-を「(1)あるブレ-クスル-を実現し、広範かつ永続的な異議をもつ基本的技術、(2)既存技術を画期的に改善し、既存技術に(1)にいう技術と同等な生命を与えた技術、(3)世界の技術の基準・標準となる装置の開発・デ-タの蓄積、(4)きわめて普遍的な生産技術、のいずれか」と定義した上で、学士院賞・科学技術庁長官賞の受賞者等から選定した結果を掲げている。第3章「ジェネリック・テクノロジ-の特徴」では、上記で選定された具体例から、ジェネリック・テクノロジ-を特徴付ける因子を抽出している。第4章「日本の大学におけるジェネリック・テクノロジ-創成の基盤」では、大学の工学系の学部、研究科長、及び附置研究所長へのアンケ-トにより、わが国大学における発生の基盤を調査した結果を述べている。第5章「ジェネリック・テクノロジ-創出のための条件」では、以上の結果を分析し、ジェネリック・テクノロジ-創出のための条件を明かにした。