研究概要 |
学校教育において、学童・生徒・学生の視覚(視力・色覚・両眼視などの視機能)が、教育の各段階に相応して保持されているか、特にそれらをスクリ-ニングする方法が適切であるかを、前年度の成績をふまえ学校保健に資することを目的として研究をすすめた。 視力:小学生3,682名、中学生2,279名、高校生1,702名について、裸眼視力(以下視力と畧す)とオ-トレフラクトメ-タによる屈折とを検査したところ、(1)視力1.0以上でも、小学生で44%、中学生で36〜42%、高校生で35〜54%が屈折異常眼であり、(2)視力0.1〜0.7、でも小学生で29〜31%,中学生で28〜48%、高校生で13〜30%が正視であった。このように、視力のみで屈折異常の有無を推定するのは困難である。屈折検査を精度をもち効率的に行うための一機種トップコンPR1000を用いた前年度の結果は、調節介入を認めたため、今年度、固視視標をミラ-で遠方におく改良を行ったが、前年度の成績と差がみられなかった。来年度は他機種と比較し、視力・屈折スクリ-ニングの正しい指針を示す。 色覚:色覚異常の程度判定はアノマロスコ-プで行われ、その視角は2度である。色覚異常者56名を新試作大視野アノマロスコ-プで検査したところ、異常者の実用視角は20度以上であると判定された。JISが定めている工業用60色について混同色の実験を行い、色覚異常者が間違えにくい色組合せを選定中で、これらから色覚検査法の改善をはかる。 両眼視機能:頭位異常と両眼視機能の関係を、10年前と同一な方法で同一校で行った結果、頭位異常は同率にかゝわらず、両眼視機能を害う眼位異常は10年前36人中14人(39%)、今回は23人中22人(96%)と高検出率であった。すなわち、頭位異常の予備調査から眼位異常が検出され、これらの学童についてパ-ソナル、コンピュ-タを用いた両眼視機能の集団検査法(前年度から実験中)の組合せは、効率的な方法である。
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