研究分担者 |
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (80000488)
田辺 昭三 京都造形芸術大学, 教授
荒木 伸介 埼玉大学, 教育学部, 非常勤講師
澤田 正昭 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (20000490)
田中 良之 九州大学, 文学部, 助教授 (50128047)
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研究概要 |
平成3年度は最終年度であり,これまでに得た成果を踏まえ,報告書作成に向け,資料の整理を中心に作業を行った。特に本年度は,全国各地からの水中考古学に関する情報の収集にも努めた。また,遺跡全体の補足調査も必要に応じて行い,完全を期すよう努めた。以上が,本年度の研究実施計画であったが,ほぼ計画どおり,研究を実施できた。 まず,遺跡全体の補足調査としては,7月22日から27日までの間,現地調査を実施した。こん回は,浦下浦の西方で,湾入部で未調査部分を潜水調査し,海底の状況を調査し,ビデオに記録した。元寇関係の遺物等は検出できなかったが,未調査の空白部分を埋めることができた。 つぎに,関連する比較資料を収集,調査した。それは,昭和50年に日本水中考古学会が沖縄県石垣市の名蔵湾内シタダル遺跡で行った引き上げ遺物を調査した。約300点の陶磁器のうち,100点ほどに対して,実測と写真撮影を行った。これらは大体15世紀前半のものである。現地調査も行ったが,海岸には現在も遺物が散布しており,鷹島で行ったような調査方法をここでも適用できるし,本格的な調査の必要性を痛感した。 そして,3年間にわたる調査の成果と収集した資料をもとに,報告書の作成作業を行った。その内容の詳細は,研究成果報告書にゆずるとして,今回の研究を通じて,鷹島海底における元寇関係遺跡をはじめとする,水中考古学の対象となる遺跡群に対する調査方法に一定の目途が立てられたと考える。この上は,全国各地に所在する海底等の遺跡に対して,継続的に調査を実施していく必要性を痛感した次第である。
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