研究分担者 |
氷鉋 揚四郎 豊橋技術科学大学, 工学部・第7学系, 助教授 (90189762)
宮本 和明 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (90150284)
山村 悦夫 北海道大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (00001230)
木村 吉男 中京大学, 経済学部, 教授 (70080223)
河上 省吾 名古屋大学, 工学部・土木工学科, 教授 (60023058)
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研究概要 |
新都市経済学は1都市についての部分均衡分析による効用最大化モデルという第1世代モデル,一都市の一般均衡分析による効用最大化モデルという第2世代モデルから,複数都市についての都市システム分析(静学的)〈第1段階〉とこれらの動学化〈第2段階〉という第3世代モデルへ発展してきている。 1都市としての大東京について「非線形動学的多地区多産業最適編成モデル」を開発し集積効果を中心に実証してきて満足すべき成果をおさめたので,本研究ではこれを踏まえて新都市経済学の最前線,つまり都市システム分析の動学化という第3世代モデルの第2段階に対応する複数都市システムの計量的研究に挑戦してきた。 空間的(spacial)な場において,東京とか仙台とか札幌とかの諸都市が内生的必然性をもって動学的に均衡してゆく様相を理論的に,計量的に研究してきた。これによって集積効果発生装置としての都市の巨大化と距離の負荷とのバランスのもとで諸都市が存立することが解明され,安易な分散論への1つの科学的回答が与えられるのである。特に,分散論オリエンテイドな地域開発政策としての一連の「全国総合開発計画」に対する1つの総合的交代案としての役割を果たしうる新体系の創出が本研究でひそかに意図するところであった。 平成3年度では,1)大東京圏について,3地域5期間11業種6資本財8生活環境2住宅構造2交通施設モデル〜具体化モデル〜の改良を試みた。2)名古屋都市圏についても同様なモデルの試算をおこなった。3)札幌都市圏モデルと大東京圏モデルとを連動させてシミュレ-ションをおこない,今回一応の所定の成果を得た。 以上のモデルはDOSSO型多部門最適成長モデルの(1)多地区化,(2)離散型化,(3)資本の非可塑化,等といった改良をおこなったものであるが,これにさらに工学系の交通施設網上への交通量配分(traffic assignment)手法をより陽表的に組み込んで,公共投資配分機構をより充実させるようモデルを改良したものである。今後における発展が外国からも期持されている。
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