研究分担者 |
大島 康行 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40063250)
浦部 達夫 名古屋大学, 大型計算機センター, 教授 (90022706)
吉川 友章 気象研究所, 応用気象研究部, 室長
丸山 隆司 放射線医学総合研究所, 物理部, 室長
清野 豁 農業環境技術研究所, 気象管理科, 室長
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研究概要 |
1)気候温暖化の浅い水体の温度環境への影響の評価 稲を含めて多くの動・植物が浅い水のなかで生活を送る。浅い水体の温度は入射する太陽エネルギ-の収支によって決まる。気候温暖化はこの収支過程を乱し,水温環境に変化をもたらす。これを明らかにするため,エネルギ-収支方程式を数値的に解いた。日本全域で,水温は現在より2〜4℃高まり,水稲移植期は2週間早まることが分かった。水温上昇は水面からの蒸発を促進し,その程度は北海道・東北地方での約6%/℃から九州地方での約2%/℃となることが分かった。それゆえ,3〜4℃の気候温暖化が生ずると,1割以上も水面蒸発が増加する可能性がある。 2)我が国の作物生産へのCO_2濃度上昇と気候温暖化の影響の評価 CERESモデルと気候温暖化シナリオを用いて,イネ・トウモロコシ・コムギ収量への影響を評価した。現行農法下では各作物とも減収になるが,作季の早期化などの方策を採用すると増収になる可能性がある。効果は北日本で大で,西南暖地ではわずかと評価された。トウモロコシ・コムギの収量は降水量変動の影響を受け,増収には潅がいが必要となる。 3)広島における外部被曝線量の評価 広島市街上に1kmメッシュをえがき,各格子点に落下する放射性粒子量を,風による拡散・広がりを考慮して評価した。原爆雲から落下した最大放射能密度は1.600mCi/m^2【similar or equal】12.7R/hになった。ショック塵による照射線率量は15mR/hとなった。火災煙による照射線率量は5mR/hと評価された。これらの総合として,広島におけるフォ-ルアウトによる12時間後の被曝線量率は約13R/hであったと推定された。
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