在宅高齢者の為の介護労働の分析をテ-マとして本研究では、ホ-ムヘルパ-(住民参加型のホ-ムヘルパ-や家庭奉仕員を含む)や訪問看護婦並びにそれらの関係者からの聞きとりと実態調査を行った。 その結果、明らかになったことは、概ね次のとおりである。 1.ホ-ムヘルプは高齢者の在宅援助の中核的制度であるが、その派遣は1回3時間・週2回程度のところが多く、特例的な横浜市でさえ最大週36時間である。 高齢者の立場に立って、ホ-ムヘルプのニ-ズは高齢者の心身の状況や家庭の状況によって多様であることは言うまでもない。少数であるが寝たきりでひとり暮らしの人もあれば、家族がいても昼間は全員がでかけてしまう家庭もある。ホ-ムヘルプの派遣時間は現在のように上限を設けることではなく、高齢者のニ-ズにあわせる方向を今後とも目指さねばならないと思われる。 2.ホ-ムヘルプの業務内容を分析してみると、食事づくりに費やす時間がかなり大である。俗に炊事・洗濯・掃除というが、洗濯・掃除は週1又は週2でまとめてする事も可能である。しかし、食事だけは毎日3度をまとめて週1でというわけにはいかない。 ホ-ムヘルプの家事援助のうち食事づくりの部分は食事サ-ビスとして独自の施策とするのも一策であろう。食事サ-ビスとホ-ムヘルプを組み合わせることにより、ホ-ムヘルプの派遣時間を節約することも可能と思われるが、この点については次の研究課題としたい。 3.訪問看護は在宅の病弱高齢者や家族にとっては心強い支援である。訪問看護の要件として「家庭に介護者のあること」と規定しているものがあるが、上記の例と同じくひとり暮らしなどを排除することにならないようにホ-ムヘルパ-制度との連携が不可欠であろう。
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