研究分担者 |
竹田 暢典 大正大学, 仏教学部, 教授
坂輪 宣敬 立正大学, 仏教学部, 教授 (70062825)
高田 仁學 高野山大学, 文学部, 教授 (10086027)
小坂 機融 駒沢大学, 仏教学部, 教授 (10052466)
河村 孝道 駒沢大学, 仏教学部, 教授 (50052460)
|
研究概要 |
本研究の目的は、従来日本曹洞禅の祖、道元撰述の「普勧坐禅儀」「学道用心集」「正法眼蔵」等、瑩山紹瑾「伝光録」「坐禅用心記」「十種勅問奏対集」,孤雲懐奘「光明蔵三昧」及び義雲の「義雲和尚録」を対象にして、各種学術用語を当該テキストより摘出し大正新脩大蔵経総索引作成事業の一環として,基礎的研究を進めてきたが,平成元年度末において,その完成をみるに至ったので,その成果を十分に活用しながら異本中より摘出した学術用語との比較研究を通じて,厳密な概念規定を行うことに努めた。更に各研究分担者の研究課題における研究と研究打合せ会における討議,検討を行うことによって,日本曹洞禅の祖道元の思想の特質を明らかにすると共に,この思想が原始曹洞教団内に如何なる位置をしめ,如何なる意味,機能を有したかを追求した。次に曹洞教団の全国的教線の拡張へと展開する契機ともなった瑩山の諸著述との比較検討を通じて,その特徴を解明し,併せて日本曹洞教団が民俗信仰など在来の諸信念体系などを績極的に攝取し同化していく習合,及び世俗化の問題を含む思想的変遷の過程を検討した。世俗化の問題を検討すれば,当然永平寺教団の内部の思想上の対立を含む教団分裂の問題が浮かび上がってくる。それら関係資料と義雲の「義雲和尚語録」とにより,それらの問題を検討した。研究実施計画に基づいて実施した研究の最終段階において作成した各研究分担者の原稿を,研究代表者がそれぞれ詳細に検討した上で,各研究分担課題ごとの研究成果は,別添「研究成果報告書」に纏めておいた。鎌倉期の新仏教運動としての道元の禅思想は,永平寺教団において,いかんなく発揮されたが,その時代を過ぎると世俗化へと大きく傾斜していった。その一連の動きが,また曹洞教団の教線拡張へと連動していくことになるのである。
|