研究課題/領域番号 |
01301007
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宍戸 直 山形大学, 人文学部, 教授 (10006835)
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研究分担者 |
森 美智子 東北学院大学, 教養部, 助教授 (40142898)
森 雅彦 宮城学院女子大学, 学芸学部, 助教授 (90137612)
元木 幸一 山形大学, 教養部, 助教授 (10125669)
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キーワード | 公共芸術 / パトロネ-ジ / 都市美術 / 宮廷美術 |
研究概要 |
本年度は、6月、学術会議のシンポジウム「芸術とパトロン」に宍戸が参加後、8、9月に集中的な研究打ち合わせ会を行い、宍戸や元木の発表から、Official Art特有のイメ-ジの存在可能性、Official Artの中の都市の公共芸術と宮廷芸術の類縁と差異などの問題が検討課題として浮かび上がった。このような課題を念頭に置きつつ、各研究者はそれぞれの課題に取り組み、次のような研究成果を得た。 1.宍戸は、イタリア彫刻についてシエナの中央広場カンポのフォンテ・ガイアに、公共芸術としての都市の伝統、理念を考察、あわせて、パトロネ-ジと作品構想との関連をドナテルロのパドヴァの祭壇にみた。2.元木は、デュ-ラ-の『二皇帝像』を、ニュルンベルクの都市理念を反映した公共芸術として捉え、その制作過程と表現内容を解明し、あわせて『四使徒像』の制作契機をも新たに提起した。3.森雅彦は、18世紀フランスのバティマン・ド・ロワを中心とする、「上からの」歴史画=公共芸術復興の試みと、ラ・フォン・ド・サンティエンヌの『フランス絵画の現状に関する考察』に象徴される「下からの」芸術改革の動きに分析を加え、当時のアカデミ-美術体制下における国家メセナティスムと芸術の関連を考える手掛かりとした。4.森美智子は、バロック期スペイン宮廷の公共芸術成立の一側面に、世俗趣味の興隆があったとの問題意識に立ちつつ、16世紀スペイン宮廷の芸術趣味の興隆があったとの問題意識に立ちつつ、16世紀スペイン宮廷の芸術趣味について、貴族の財産目録を中心にして、絵画コレクションの分析を行い、宮廷貴族たちの世俗趣味の興隆の実態を明らかにした。 以上のような諸相の分析から、来年度は、パトロネ-ジと芸術創造の関係、宮廷画家や都市芸術家のような公的な芸術家の成立要因等にも焦点を当てつつ、Official Artの総合的理解を目指す。
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