研究課題/領域番号 |
01301007
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宍戸 直 山形大学, 人文学部, 教授 (10006835)
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研究分担者 |
森 美智子 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (40142898)
森 雅彦 宮城学院女子大学, 学芸学部, 助教授 (90137612)
元木 幸一 山形大学, 教養部, 助教授 (10125669)
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キーワード | パトロネ-ジ / オフィシャル・ア-ト / 都市美術 / 宮廷美術 / 芸術政策 |
研究概要 |
本年度は、最終年度として、各研究者の個別研究の完成と、中世末から近代に至るオフィシャル・ア-トの展開を跡づけることを目指し、次のような結論に到達した。 中世においては、オフィシャル・ア-トのオフィシャルなる性格は曖昧であることが多い。元木は、中世末期の宮廷肖像画の多様な機能を分析することによって、この時代のオフィシャル・ア-トの公私の曖昧性を指摘し、宮廷肖像画を「政治的ー文化的装置」として位置づけようとした。このような曖昧さは、近代性を帯びるに従い解消される。宍戸は、ルネサンス、イタリアの都市共同体的性格を、フィレンツェとシエナの公共美術の中に分析し、美術家個人と都市パトロネ-ジの問題に光を投げかけた。この都市の公共美術の中に、近代的な意味でのオフィシャル・ア-トの萌芽を読み取ることも可能であろう。バロック期の絶対主義王政の誕生とともに、オフィシャル・ア-トは権力の装置としてのプロパガンダ機能を強化する。森美智子は、ベラスケス作『フェリ-ペ四世像』の非寓意的特徴を分析することで、そこに現れたスペイン独特の国王理念を解明し、加えて、国王と画家の親密なる関係が、国王肖像の制作にいかに関与していたかを明らかにした。近代において、オフィシャル・ア-トはイデオロギ-の担い手となる。森雅彦は、フランス7月王政の下で催された絵画コンク-ルに、国家イデオロギ-の反映を読み取り、国家による芸術介入の具体的様相を呈示した。このようにして森は図像の分析によって国家心性を理解しようとする社会図像学(socioーiconology)を提起する。 このような中世末から19世紀に至る研究により、オフィシャル・ア-トの広範な展開とその機能が、具体的に解明されたものと考える。
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