研究概要 |
本研究の遂行に当って,三つの分野・時代にほぼグル-プ分けされる。よって,まずその各グル-プでの実証的な調査活動からスタ-トした。まず古代・中世仏教美術のグル-プは、主に平安末鎌倉時代における仏教美術・仏教図像の日本的変容を実証的に追求することを主な目標とした。東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館に所蔵される特異万図像的特色をもつ仏画,なかでも、正確な尊各の明らかでない〓尊見会図や、いかにも日本的な図像の成立を証明できる垂迹美術にスポットを当てて調査活動を行った。さらに金沢の石川県立美術館や山梨の富士浅間神社や高野山などの各地の美術館や法寺の該当する作品を出来る限り網羅するために資料調査を行った。その結果従来知られていたもの、予想されていた時代よりもさらに古く、しかも数多くの事例や作品を発見し、又新知見を得ることができた。さらにこの二年間では解決できない程多種多様な事例を発見し 今後の研究のための資料を得ることができた。 さて中世絵画のグル-プは 大和文革館で行われた「俵屋宗達」展を機会として 展示された宗達作品ことに金銀〓和歌巻や色紙の図像的展開を調査することができた。数多くの宗達の和歌巻の調査の結果、木版下絵による連続画面の制作に当ってはいわゆる嵯峨本と称せられる謡本の木版雲母刷の表紙のデザイン・文様モティ-フがきわめて強くかかわっていることが実証された。 第三の近世ー現代美術のグル-プでは,各人の得意の分野で巾広く調査研究が行われ、近代における日本における西洋美術受容の〓〓や、又逆に西洋における日本美術からの明らかな影響の事例が報告された。中でも本研究の趣旨にもっともふさわしいものとして近代日本の洋画に〓えた西洋シュ-ルレアリスム絵画の彼我の図像的変容の例が証明された。
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