研究課題/領域番号 |
01301015
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
舛田 忠雄 山形大学, 教養部, 教授 (10004110)
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研究分担者 |
矢内 諭 東北工業大学, 教授 (30042261)
松村 和則 筑波大学, 体育学系, 助教授 (70149904)
松岡 昌則 秋田大学, 教育学部, 助教授 (70111242)
多々良 翼 宮城学院女子大学, 教授 (20073306)
青木 辰司 秋田県立農業短期大学, 助教授 (50141073)
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キーワード | 兼業化 / 「家」 / 家産 / 後継者 / 嫁不足 / 生活扶助システム / 機能集団 / 行政 |
研究概要 |
本研究のテ-マであるイエ・ムラの今日的課題を明らかにするために秋田県羽後町を調査対象地とした。羽後町は秋田県南部・出羽丘陵の東部に位置し、湯沢市に隣接している。景観的には農業を主たる産業としている自治体であるが,現実には他の多くの町村と同様に、農業そのものは厳しく、今日でも出稼者を多数輩出している自治体である。 この地における戦後、とくに昭和30年代以降の変容は、 1.30年代後半以降の経済成長の過程で、兼業化は急速に進展した。 2.ごく少数の農家においては、耕作権の受委託制度を活用して経営耕地を拡大することによって専業化を志向した。また、畜産や〓菜、あるいは花卉といった多様な農業生産を営むことによって専業農家としての地位を確保している例もみられる。 3.しかし、イエを性格づける家産のうち、もっとも重要な物的基盤としての耕地は、すでに客観的な基盤としての存在意義を失った。 4.したがって農地は,農外収入の不安定さをカバ-する最後の保塁であり、最終的には処分可能な財産であると云ってよい 5.また、それ故に各農家の後継者も、イエ後継者とは云い難い。あえて表現すれば老親の扶養者と云ってよい。 6.しかし、後継者不足、さらに進展する嫁不足は、老親の扶養者の不足を意味するだけでなく、ムラの後継者の不足をも意味する 7.ムラも、農家の性格の変化にともない,かつて有した共同性と統一性を弛緩させてきた。 8.かわって、各農家を結合させる紐帯は、今日においては町一般行政または教育行政であり、こうした行政による機能集団が中核となり、伝統的な生活扶助システムは、その姿を消しつつあるといってよい。
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