研究課題
三年計画の第一段階として、初年度にあたる平成元年度は、北海道・沖縄両地域の出稼ぎ多発地に関する基礎的資料及び情報の収集を行うとともに、関連すると考えられる既存の研究成果を手懸りとして研究会を開催し、次年度にそなえた。一方、両地域の出稼ぎ多発地を現地訪問し、地域に密着した情報等を集めることにより、次年度に予定されている出稼ぎ調査の対象候補地の選定に関する検討を行った。まず、北海道地方については、年度初期の7月に道庁を足がかりとして、道内屈指の出稼ぎ多発地を形成している渡島半島沿岸部の町村を訪れ、次年度調査対象地の見当をつけた。そして帰京後、資料分析と見当を重ね、東南部の恵山町と椴法華村を候補地として決定した。この両町村は道内で最も高い出稼ぎ率(出稼ぎ労働者数÷就業者数)を示している。また、双方とも漁業経営との関わりを軽視しては出稼ぎ問題を語ることができない道南地方に特有な地域性を有していると考えられる。その後、これらの取り決めを見定めるために2回目の訪問に出向き、恵山町・椴法華村当局及び漁業協同組合、また対象地区として選定された恵山町御崎地区、椴法華村銚子地区のそれぞれの町内会役職者と接触して、実態調査の実施(平成2年8月実施予定)について、概ね現地の合意を得ることができた。あわせて、種々の資料・情報に基づいて、実施予定の調査票の項目の検討を行った。沖縄地方については、次年度のケ-ス・スタディの対象候補地を選定するために現地訪問し、資料と情報を収集した。調査対象地として、宮古島城辺町を候補地に決定する方向で、目下検討をすすめている。