研究課題
三年計画の最終年度になる平成3年度は、前年度実施した北海道における現地質問紙調査、および沖縄における事例面接聴取調査のとりまとめを中心に、報告書作成のための作業と検討を行ってきた。まず北海道班は、前年度(平成2年8月)に恵山町御崎地区と椴法華村銚子地区とで実施した「漁村生活と出稼ぎに関する調査」の回収票(世帯票180、出稼ぎ票200)の集計・解析をすすめるとともに、9月3日から7日にかけて現地を再度訪問し、協力を仰いだ役場や漁協、町内会への調査結果の中間報告と、報告書作成にあたってさらに必要と考えられる若干の補充聴取調査を行った。そして帰京後、これまでの成果を検討しながら、回収された調査票の諸結果と聴取、既存の諸資料を手懸りとして分析と考察をすすめた。一方、沖縄班は前年度までの面接聴取の記録をまとめるかたわら、出稼ぎ者の面接聴取補充と新しい資料の蒐集を行なうため、11月27日から30日にかけて、沖縄本島の県庁と職安、宮古島の職安を再度訪れた。事例的な面接聴取の方法で調査を行ってきた沖縄班は、事例調査に特有な、サンプル数が十分に確保できないという弱点を補うため、一人でも多くの対象者と接する努力を重ねてきた。報告書の作成は、基本的に北海道、沖縄の両班にわかれて作業をすすめたが、地域の社会経済的構造と出稼ぎ労働との関連性に重点をおくことを柱とした。報告書全体の統一性を図るにあたっては、本年度当初より両班合同で検討と分析がなされた。研究メンバ-が全国に散在しているため、報告書作成の打合せや連絡が電話・書簡中心となるメンバ-もいたが、11月3日にはメンバ-の大半が参集して、報告書全体の構成に関する最終的な検討や、執筆項目の確認と作業の進行状況についてメンバ-各自からの報告がなされた。本年度の作業はほぼ計画通りにすすめられてきたといってよい。
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