研究課題/領域番号 |
01301032
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
近藤 與志夫 九州大学, 教育学部, 教授 (40037031)
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研究分担者 |
馬越 徹 名古屋大学, 教育学部, 教授 (60000030)
石附 実 大阪市立大学, 文学部, 教授 (40068721)
西村 重夫 九州大学, 教育学部, 助教授 (90132422)
望田 研吾 九州大学, 教育学部, 助教授 (70037050)
弘中 和彦 九州大学, 教育学部, 教授 (30000053)
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キーワード | 留学の効果 / 留学の影響 / 国際比較 / 留学生受け入れ国 / 留学生送り出し国 / 頭脳流出 / キャンパスの国際化 / コストーベネフィット分析 |
研究概要 |
送り出し国における留学の影響・効果については、特に以下の点について分析を進めた。第一は「頭脳流出」の問題である。韓国においては頭脳流出に対する対策として「頭脳還流」政策がとられていること、台湾では経済発展に伴い帰国留学生が増加するなど「留学における先進国化」が進行していること、さらに、中国においても留学生の大量派遣から帰国留学生の受け入れに政策の重点が移ってきていることが明らかにされた。第二は、国による留学の統制的な政策の存在とその影響の重要性についてである。とくに留学生選抜に対して政府の影響力を行使する場合の波及効果を分析する必要性が指摘された。(インド、中国など) 受け入れ国における留学の影響・効果については、特に留学生受け入れ大国アメリカに関して以下の点が明らかになった。第一に、留学の個人に対する効果については、取得学位、専門分野、留学費の出所などの要因によって、留学の効果に関する意識に違いがみられる。第二に、留学生受け入れのアメリカの高等教育機関に対する効果については、まず、留学生受け入れによって国内学生の減少の補充(「充填材」としての受け入れ)といった経済的効果を高等教育関係者は意識している。第三に、留学生受け入れの教育的効果として留学生のプレゼンスによるキャンパスの国際化、国内学生の国際意識の増進が期待されている。このことはアメリカの高等教育機関のforeign student adviserに対する質問紙調査によっても明らかとなった。 送り出し国、受け入れ国、いずれにおいても、留学の効果・影響の分析、とくにコストとの関連においてみたcostーbenefit分析は留学政策を策定するうえにおいても非常に重要であることが指摘され、「厳密な分析枠組に基づく説得力ある分析」の必要性が強調された。
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