研究課題
総合研究(A)
公立義務教育学校の教員の人事行政について、諸外国(米国、英国、ドイツ、フランス、中国、カナダ)の場合と日本の場合を比較して考察した。この研究によって得られた主要な知見は、次のとおりである。(1)勤務評定日本の場合の勤務評定は、結果が非公開扱いとされているためもあって、教員の資質能力の改善のためにどのように活用されているかは不明である。勤務評定は、多くの外国でも実施されており、しかも教員の教授能力や職務遂行能力の改善を図る資料としても活用されている。(2)転任日本の場合、現任校において所定の勤続年数に達した教員は、毎年度末に、各都道府県教育委員会によって他校に転任させられる。この定期的な転任人事によって、多数の教員が市町村の内外の他校に異動する。諸外国における転任人事は、欠員が生じた学校がある場合とか、教育本人が他校への異動を希望する場合に、例外的に行われている。(3)日本の教員人事を改善するための今後の研究課題(1)勤務評定が教員の職務遂行能力や資質についての改善必要度を判定する資料として活用されているか否かを調査すること。(2)地域の特性や児童生徒の実態をふまえた、特色ある教育課程の編成と個性的な学校教育の促進という観点から、勤続年数を主たる指標として行われている転任人事の功罪を究明すること。(3)教育委員会の教員人事担当職員に必要とされる専門能力を明らかにし、その能力の習得を可能にする研修プログラムを開発すること。
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