研究分担者 |
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 第4研究部, 助手 (40151021)
瀬川 昌久 東北大学, 教養部, 助教授 (00187832)
都築 晶子 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00115601)
目崎 茂和 三重大学, 人文学部, 教授 (80101187)
山下 欣一 鹿児島経済大学, 社会学部, 教授 (10166663)
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研究概要 |
本年度は本研究活動の最終年度で,かつ予算規模からして1回かぎりの会議実施であることにより、昨年度までの研究活動で不足していた海外研究の具体例、及び沖縄の歴史・現代にわたるトピックとしての具体例を発表報告することに重点を置いた。また研究発表は,昨年度にひきつづき一般参加者にも公開した公開討論会の形式で実施した。風水研究に関心の高い沖縄での公開討論会の実施は,成功裡に終った。 海外研究は韓国と香港の例を検討した。元来風水思想と土地のユ-トピア観たる福地思想とは別個の発展を遂げたものだが,『擇里誌』の具体例を通じて両者の結合がありうることがわかった。また現代建築は風水思想と無縁のものと思われやすいが,香港最新のビル設計にも風水思想が具体的に生かされていることも今回判明した。わが国で風水思想史の復元ができるのは唯一沖縄であるが,風水思想の普及過程がより具体的に判明しつつある.それは同時平行していま沖縄で続々と史料発見が相ついでいるからだが,史料の発見も我々の努力によっている.近世琉球の革命ともいうべき人口増大・都市出現・土地利用変化・環境改修の原因をなす政策は,どうも風水思想による影響が甚大であろうことが判明しつつある。すなわち風水思想は王府の政策となって,沖縄に普及したのであるが,後年に至ると町方のみならず地方でも,政策にかかわらず風水判断がなされていたことが判明した。やがて風水政策の中心だった王府は廃たれるが,現代に残っているのは完全な民間人による風水判断である。現代民間の風水判断は,風水思想の大原則と同様家屋風水よりも墓地風水が最重要視されており、判断内容も想像以上に多項目にわたっていたことが判明した。今後の課題としては,海外の風水研究の資料収集と国内との比較,国内にあっても史料の発掘と風水史の再編成,現地調査による研究の面的拡大の3点が目下急務である。
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