研究分担者 |
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 第4研究部, 助手 (40151021)
瀬川 昌久 東北大学, 教養部, 助教授 (00187832)
都築 晶子 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00115601)
目崎 茂和 三重大学, 人文学部, 教授 (80101187)
山下 欣一 鹿児島経済大学, 社会学部, 教授 (10166663)
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研究概要 |
研究成果は研究目的により、大別して4分野に分けて考える必要がある。即ちそれは海外と国内,歴史と現状の2つの規準分類による。 1.海外の風水知識の変遷史:ここでいう海外とは,中国・韓国であり若干の東南アジアを含む。我々の知見により得られた成果は,中国の史書としての風水書は多数にのぼるが,これまで殆んど研究されて来なかったこと。西洋科学の導入による迷信視が第一の原因だが,それとは別に風水書の偽書もまた多数にのぼることが判明して,思想の発生を追求することに難があったためでもある。同時に中国近世における風水書の豊同も顕著になった。韓国は歴史上最も風水思想を実践した地である。 なかでも福地思想と結合して拡大したであろうことも裏づけられたが,なお史的復原は十分とはいえない。2.海外の風水知識の現状:研究組織で最多であるのが韓国であり、香港・台湾がこれに次ぐ。しかし風水と一口に称しても、風水判断に活用法はきわめて異なっており、とくに骨の処理に関する祖先観の相違が活用法の違いに及んでいる。理解の決め手は風水闘争のありかたであることが判明した。3.国内とくに沖縄の風水史:沖縄への導入は17世紀以前だが,風水思想は琉球王国の国策と結合して,普及の合法的根拠をえ国策として活用された。18世紀以降には今日沖縄文化の特徴として知られるあらゆる造形空間の基礎を、風水知識が提供した。しかし国策のみならず民間知識としても,明治期以前に普及していたことが判明した。4.国内とくに沖縄の風水知識の現状:現代沖縄の風水知識のすべては民間知識だが,風水思想の説くところと同様,全城にわたり墓地風水が家屋風水のより卓越していた。但しどの思想系統かどの風水書の影響かについては究明の余地を残している。沖縄は海外に比して風水闘争がないなど独特の風水思想が生きている。果たして日本本土はどうなのか,この点未だ難題を残したままである。
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