研究概要 |
本年度は前年度の研究成果を承けて,各自の問題関心にしたがい、合同調査と個別調査を並行して実施するとともに,前年度に収集した資史料の整理と分析をおこなった。 秋田地方の調査では前年度に引きつづき、秋田県平鹿郡増田町の石田家所蔵文書の整理と目録化を進めたが、所蔵文書の点数が予想以上に膨大なものとなったため整理に多大の労力と時間を要した。またこの作業と並行して,必要な分析をおこなった。また本年度に計画した福島地方の調査では,佐々木,賀川の両名がそれぞれ福島大学,福島県立文化センタ-と伊達町で史料調査と収集を実施した。また九州地方の調査では,前年度に充分な資史料の発見に至らなかった近代部門で田崎が福島県立図書館の所蔵史料と地方新聞のマイクロフィルムによる検索を実施したほか、近世部門では、大分、熊本、久留米の各市で、佐々木、菅野、賀川が必要な調査を実施し、藩政史料、地方行政、経済関係史料の発掘と調査を実施した。大阪地方については米倉が大阪大学で所要の調査をおこなった。 個別の調査では、稲田・本郷・岩田がそれぞれ東京および埼玉の史料所蔵機関等で史料収集を実施したほか、曽根、高橋も各々必要な調査をおこなったほか、研究状況等について情報交換を実施した。 以上の調査等に基づき、あるいは既に収集済みの資史料等の分析によって、既にいくつかの研究成果がとりまとめられたほか、現在、各人が研究成果の最終的なまとめを実施しており、その概要については,資料調査とあわせて実施された沼津での研究会で報告され、検討に付された。 以上の結果、民衆の地域概念は政治・経済・社会等の各側面で異なり、それらが重層しつつ意識化されていること、しかも自己の属する地域の位置が時代によって変遷しつつ拡大することなどが確認された。
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