研究課題/領域番号 |
01301044
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 雍成 九州大学, 文学部附属九州文化史研究施設, 教授 (80037001)
|
研究分担者 |
安達 義弘 九州大学, 文学部附属九州文化史研究施設, 研究員 (60175891)
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 講師 (50183942)
紙屋 敦之 福岡大学, 人文学部, 助教授 (00194978)
喜舎場 一隆 琉球大学, 法文学部, 教授 (90044833)
|
キーワード | 南島渡来人 / 三山分立 / 古琉球 / 按司 / 織豊政権 / 評定所文書 / 琉球支配 / 薩琉貿易 |
研究概要 |
本年度は、総合研究推進のため、九州・沖縄各地での研究打合せ会・発表会による情報交換、研究方法の討議、西南諸島関係の図書・史料の網羅的蒐集に全力を注ぎ、その時間的制約から、分担研究者すべての成果発表には及んでいないが、機関誌『九州文化史研究所紀要』に特集論考3点をまず掲載、各研究者それぞれの場での若干の論著発表にこぎつけた。 役割分担の[I]の(1)は、先行論文の検討と『続日本紀』以下の各種文献にみる、古代の南島渡来人と九州、朝廷との関係の分析を開始し(不掲載)、(2)は、中世-特に鎌倉後期より室町中期-の三山分立(各王と領内按司の主従関係)や、中山王による三山統一と宮古・八重山など先島の中山入貢に、日本の戦国時代→織豊政権下の参勤体制との類似性を認め、「古琉球」を古代国家形態とする通説に、封建王政の形成を対置する。(3)は、「古琉球」とグスク、天孫氏の問題、王府制度の特質や耕地所有形態など多角的な検討を行い、(4)は、今次論文では、織豊大名の喫茶の風、特に千利休の茶道の琉球普及の問題を実証的に論じた。(5)も、先稿の論点を近世に下降させたが、しかし王府の儀礼・宗教研究の延長線上に位置する。(7)は、明・朝鮮・琉球・日本の領主層による石の架橋技術などを実学との関係から論じた大作である。(不掲載) [II]の(1)は、従来研究の乏しい分野で、豊臣・徳川政権の琉球支配の展開過程を詳細に追究している。(3)は、琉球王国の評定所文書の検討の上に、近世前期の薩琉関係の分析視点を提示した。(5)も、鎖国下の琉球王政が薩琉貿易を軸として展開する姿を描き、(8)は、主題とは若干外れて、琉球王府による周辺地域農村の支配形態にメスを入れている。 紙数の関係で、全体的な紹介は省略したが、本格的研究書(2巻、1500頁程度)刊行の完成をめざして鋭意努力中である。
|