研究課題/領域番号 |
01301048
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
合阪 學 大阪大学, 文学部, 教授 (50027976)
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研究分担者 |
中谷 功治 大阪大学, 文学部, 助手 (30217749)
江川 温 大阪大学, 教養部, 助教授 (80127191)
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
堀井 敏夫 大阪大学, 教養部, 教授 (90025049)
川北 稔 大阪大学, 文学部, 教授 (70107118)
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キーワード | エウギッピウス / 『聖セウェリヌス伝』 / 属州 / イギリス帝国 / 「マドック伝説」 / ケルト辺境 / ト-マス・クロムウェル / テュ-ダ-宗教改革 |
研究概要 |
本年度は、西洋における世界国家の経営と民族問題を究明するために、以下の研究会を開催し、そこでの報告・討論を中心に、問題点の提示・整理・検討をおこなった。 1.「文化の多様化と画一化--ロ-マ帝政下の属州に於ける」(報告書・合阪學)では、ロ-マ帝国解体期の5世紀における帝国北方ノリクム属州の諸都市に焦点を当て、ロ-マ軍団の進出・駐屯・撤退過程にあわせて、地方都市の成立(ロ-マ化)とキリスト教化、さらにはゲルマン諸族の侵攻(ゲルマン化)を詳細に報告した。とりわけ、ロ-マ軍不在の属州において、司教や修道士(後に聖人になる)の政治的活躍には注目すべきものがある。本報告の主要な史料は、エウギッピウスの著した『聖セウェリヌス伝』であるが、これについては、報告者が本年2月に発表した論文(裏面参照)において、翻訳・解説・分析がなされている。 2.「テュ-ダ-史再論」(報告者・栗山義信)では、イギリスが世界国家としての全貌を現わす以前、テュ-ダ-期・ヘンリ-8世の時代をとりあげ、宗教改革の視点から、その巧みな統治のメカニズムの一端を明らかにした。聖書をめぐる神学上の論争に触れつつも、その背景となる民衆の心性に大いに注目し、後のイギリス世界帝国への道程との関連で、議論が深められた。 3.「神話の効用--「マドック伝説」とケルト辺境問題」(報告者・川北稔)では、イギリス帝国支配に関わるひとつの神話=「マドック伝説」を通じて、世界国家経営の一側面を照らしだした。それは支配構造のソフトな部分の解明であると同時に、ケルト辺境という民族問題をも包含する。民族問題と複雑に錯綜した世界国家の重層構造が、具体的なかたちで明らかにされた。
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