研究分担者 |
根無 喜一 関西学院大学, 文学部, 助教授 (00180703)
植田 俊郎 神戸学院大学, 教養部, 助教授 (60107117)
田中 きく代 聖徳学園岐阜教育大学, 教育学部, 講師 (80207084)
石井 規衞 神戸大学, 文学部, 助教授 (20168173)
鈴木 利章 神戸大学, 文学部, 教授 (30073357)
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研究概要 |
文化衝突は,一方的文化征服へ至る過渡事象ではなく,しばしば新文化形成の主要契機であり、更には基層文化と表層文化の対立のような内的衝突や,傳統文化と外来文化の競合のような外的衝突の複合する重層構造をとる。この共通諒解に基づき,1990年度は各研究分担者が個別的実証研究をすすめた。具体例を以下に摘記する。 田中(穂)は、前3世紀以降,ロ-マ勢力の東漸に伴ないヘレニズム諸国の勢力均衝が激変する複雜な経緯をエウメネス2世,アンチオコス4世の対外政策,対外行動に即して跡づけ,君主観の変質を探ろうとする。杉村は、ビザンツ帝国の外国出身皇后に対する廷臣,有力者の反揆,反目を分析し,帝国内外の諸民族,諸種族,諸地域との外交,軍事,文化上の葛藤を読み解いた。鈴木(利)は、聖母マリア崇拝がアングロ・サクソン末期のイギリスに(西方世界で初めて)東方世界から導入され,ノルマン征服に伴なう弾圧の後,アングロ・サクソン文化復興の動きに乗じて甦り、ひろく西方世界に普及したことを実証しつつある。植田は、中世以来の基層的民衆文化が,カトリック教会の弾圧のために逼塞した後,フランス大革命期にカトリック擁護派,カトリック廃絶派の両者によって再生され,反革命的王政下に再び抑圧されるという興味ぶかい研究をすすめた。栗原は,ナチスのユダヤ人迫害にゲット-のユダヤ人評議会が迎合した事実を解明しつつある。
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