研究分担者 |
五十川 伸矢 京都大学, 文学部, 助手 (30127047)
清水 芳裕 京都大学, 文学部, 助手 (90127093)
高橋 克壽 京都大学, 文学部, 助手 (50226825)
菱田 哲郎 京都大学, 文学部, 助手 (20183577)
鎌田 元一 京都大学, 文学部, 助教授 (50092747)
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研究概要 |
本年度は最終年度であり,これまでの成果のとりまとめに力点をおいた。平成3年4月に打合せをおこない,研究計画をつめるとともに,塑像出土寺院である滋賀県雪野寺跡の発掘成果を検討し,その総括のための手順を考えた。 雪野寺跡出土遺物の整理を進め,とくに土器や瓦,鉄製品の観察と図化をおこない,雪野寺の建物跡とのかかわりを検討した。その結果,塔跡や講堂跡では8世紀末から9世紀前半の土器の出土が多く,建物の焼失年代を示している可能性がうかがえた。また,講堂の西北で見つかった建物跡では,とくに土器の出土が多く,僧侶の生活にかかわる機能をもっていたことが推測されたと同時に,瓦でも瓦当面に縄叩き目をもつだけの軒平瓦が顕著である点など,塔や講堂との性格の差がみとめられた。これは,建物の方位が異なることとも対応している。最初に塑像が発見されたことで重視した講堂跡の北の平担地では,鞴の羽口や鉄滓といった鍛冶にかかわる遺物が多く出土しており,建物跡の存在がうかがえない。この点からも,雪野寺での塑像の使用は塔跡に限られていたことが導かれた。瓦については,軒丸瓦1種類,軒平瓦2種類を新たに確認したが,軒平瓦2種は近くの塑像出土寺院である宮井廃寺で出土したものに近似しており,両寺の間の結びつきを示唆する材料となった。 平成4年2月には,雪野寺跡の地に現存する梵鐘(竜王寺鐘)の調査をおこなった。奈良時代のものと比定でき,雪野寺にともなう梵鐘である可能性が考えられた。
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