研究課題/領域番号 |
01301065
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
室井 力 名古屋大学, 法学部, 教授 (70022415)
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研究分担者 |
福家 俊朗 名古屋大学, 法学部, 教授 (40083315)
浜川 清 法政大学, 法学部, 教授 (80025163)
永良 系二 龍谷大学, 法学部, 教授 (40081161)
神長 勲 青山学院大学, 法学部, 教授 (50082699)
原野 翹 岡山大学, 法学部, 教授 (80032704)
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キーワード | 行政の公共性 / 行政改革 / 行政法の体系 / 比較法 |
研究概要 |
本研究は、先進諸国の行政法現象の現代的展開とそれへの各国行政法学の対応方法を総合的に分析し、その作業を通して、わが国における行政法の体系化への道筋を提示することを究極の目的とするものである。 昨年度は、各国における最近の特徴的な行政法現象である行政改革、とりわけ、規制緩和、民営化、国と地方自治体の関係の再編、行政訴訟制度改革等の問題を分析、検討したが、今年度は、行政の公共性に関する法学的研究の成果にもとづき、現代行政法の体系化のための基本視角と課題ならびに公務員を含む行政組織および現代行政に最も特徴的な作用である行政計画の基本問題を各国または各法領域に貫通する共通の基礎として検討し、次に、現代行政に関する比較法的研究として、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスおよびソ連について、各種行政領域のもつ特殊性との相互関連性をふまえて、各国における組織法、作用法および救済法の制度とそれをめぐる改革論を検討した。 これらの作業を通して、各国の行政法の論理構造は、当該諸国において従来選択されてきた憲法上の価値基準のこの間の大きな変容の影響を直接的にまたは間接的に受けて、その形式はもちろん内容においても従前のそれから著しく変化しつつあることが明らかとなった。そして、こうした変化は、各国におけるそれぞれの行政領域において国民の具体的な権利自由と新たな矛盾・対抗関係を生み出していることも明瞭である。以上の知見にもとづくならば、わが国の行政法の体系化は、人権保障とそのための民主主義的諸原則・諸制度を内容とする法治主義をより一層充実・充填する視点と方向において、立法論的にも解釈論的にも行わなければならないであろう。
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