複雑な相互関連性をもったデ-タから情報を取り出す統計手法としては多変量検析手法があるが、それは多数の個体にたいし複数の特性(変数)を同時に測定した2重配列形式のデ-タを解析の対象とするものが主流である。最近は、種々の分野で、2重配列をさらに多数個集積した一層高度の相互関連性をもったデ-タの解析が必要になっている。そこで、本研究は、経営科学、品質管理、社会心理学、教育などの広い分野の研究者が結集して互いの情報を交換し、従来の多変量解析手法では扱えない多重配列構造をもつデ-タを収集してそれぞれに適した解析方法を検討し、新しい解析法を確立すると共に、解析に不可欠なソフトウェアを開発することを目的とする。 以上の目的に沿って、本年度は次のような集会を行って研究を進めた。7月28日東京地区メンバ-による研究計画立案と研究打合せ、9月29日東京地区メンバ-による情報交換、11月27日、28日、全メンバ-および希望者による研究発表会と討論1月15日代表と幹事による打合せ、2月5日代表と幹事による打合せ。 上記11月に開催した研究集会での予稿に手を入れ、多重配列デ-タの特異値分解のプログラムを収録して、100頁にわたる本年度の研究報告書を作成した。本年度の活動により、種々の分野での多重配列デ-タの所在やその解析目的などが明らかになり、新しい解析方法の情報交換が行われた。ソフトウェアについての調査は十分ではないが、吉澤によるプログラムのパソコン用への書き替えなどが進展した。 次年度および第3年度の継続が認められる見込みであるので、新しい解析方法の研究、種々の解析方法の比較研究、多重配列デ-タとソフトウェアの蓄積などを進める予定である。
|