研究分担者 |
坂井 昭夫 京都大学, 経済研究所, 教授 (20067713)
川瀬 光義 埼玉大学, 経済学部, 講師 (40195095)
藤岡 純一 高知大学, 人文学部, 助教授 (70165356)
重森 暁 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (70036581)
宮本 憲一 大阪市立大学, 商学部, 教授 (30046891)
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研究概要 |
本研究の目的は1970年代以降の地方税制改革の国際的動向を分析し,今後の展望をおこなうことであった。今年度は,從来の研究に加えて,とくに,イギリス,スウェ-デンなどの改革の動向も視野に収め,最終年度にふさわしい成果をあげることができた。 この時期における主要各国の共通した傾向は,中央政府の財政危機によって補助金・交付金などの削減・圧縮がみられ,各国地方団体は分権化にともなう独立財源の強化を余儀なくされたこと,これにともなって公平原則よりも資源配分上の効率を重視した多くの改革が試みられ,イギリスにおけるコミュニティ・チャ-ジにみられるように重大な困難に直面してきたことである。 その主要な流れは次の三つに大別できるであろう。 (1)人頭税など資源配分上の効率を重視する方向を修正し,資産税に応能原則を加味した新資産税の強化をめざし,資産税を維持しつゞ公平原則のウエイトを高める方向。 (2)土地資産の所有における格差を是正することが現代における公平の実現において中心課題であるとの認識の下に(1)の方向をさらに強め,キャピタル・ゲイン課税としての地方税制を考える方向。 (3)地方税源としての固定資産など,伝統的な税源は,もはや時代おくれとなった,という認識のもとに,地方所得税,または,付加価値税を地方税源の中心にする,という方向。 各国は何らかの形で,この三つの方向を加味した地方税制改革を模索しているが,地価の高騰など,税制のみで対処できない課題も,現在では,税制改革論として検討されてきた。この点が解決されて長期的に改革を検討しうる状況となれば,地方所得税,付加価値税を重視してきたスエ-デン,西ドイツ(一部日本)の改革がモデルとなりうるであろう。
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