研究課題
(1)今年度は、全体の打合せ会や中間報告会を合せて、3回行ない、研究の基本的問題点の解明と、その研究方法上の討論を行った。さらに第3回目では、研究の進展の早かった電気技術や制御、軍事技術部門を中心に中間報告会を行うことができ、基本的には順調に進行しつつある。(2)電気技術の発達史では、全国の発電所の現地調査デ-タを極力収集した。その上で、発達上の特徴で分析すれば、1950年代前半における水力発電の大規模化と合理化(1952年の自動化率75%)、新鋭火力発電所導入にさいしては、「1号機導入2号機国産型」が復活したこと、エネルギ-消費構造の産業への著しい傾斜、電力消費システムと地域開発(振興)政策の矛盾等が大きな問題として浮かび上がってきた。導入技術の果たした役割と自主的発達との相互関係については、更に分析を進めている。(3)自動化やオ-トメ-ションの進行については、近年の「メカトロニクス論争」の理論的な整理を行った。この問題は、分担者の日野川が引きつづいてまとめている。(4)軍事技術については、分担者の加藤が、とりあえず「軍事技術論の課題と方法」をまとめた。ここでは、近年のハイテクノロジ-と軍事技術の関係を合せて分析しておいた。(5)なお、研究の基本的な方法や今後の課題については、従来の戦後日本技術史研究が、著しく経済的関係に偏っているか、もしくは逆に個人の業績史ないしは回想録的なものに偏していることを確認し、技術の体系すなわち構造や、社会全体および産業全体としてみたとき、どのような関連をもつ体系となっているかを解明すべきことに一致、今後、このような方法で、他の個別部門(土木、機械、化学)において調査を進めつつある。全体として、こうした方法を確立したことは、今年度の大きな成果であると言える。
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