研究分担者 |
橋本 聖史 大阪大学, 工学部, 助手 (50183554)
豊貞 雅宏 九州大学, 工学部, 助教授 (30188817)
藤本 由紀夫 広島大学, 工学部, 助教授 (60136140)
船木 俊彦 大阪大学, 工学部, 教授 (90029174)
岩田 光正 広島大学, 工学部, 教授 (80034346)
|
研究概要 |
船舶及び海洋構造物に対し高信頼度の疲労・破壊設計を行うために,外力としてまずそれらに加わる波浪荷重を調査し,その実態を明らかにした。それによると荷重振幅の長期分布はワイブル分布で近似でき,その期待値はほぼ指数分布に従うこと,荷重のピ-ク値の時刻歴は平穏な海象状態と荒れた海象状態が統計的に独立に現われることが,明らかになった。平穏な海象状態は有義波高が5m以下でその時刻歴は統計的に独立過程であるが,5m以上の荒れた海象状態では荷重の時刻歴は従属過程でそれは三角形状に近似できること,ひとつの荒れた海象の持続時間の期待値はほぼ同じであることなどが明らかになった。これらを基に実海域をモデル化した疲労き裂発生,伝播,不安定破壊に関する標準実働荷重モデルを提案した。次に,変動荷重疲労試験を行いき裂発生,伝播に対する限界値(疲労限及び下限界応力拡大係数)を求め,平穏な海域を航行する場合には疲労被害が無いと考えられることを明らかにした。そして船舶,海洋構造物に関する新しい疲労設計法,すなわち疲労強度を従来の航海(実働)年数或いは荷重繰返し数で評価する方法でなく,荒れた海域との遭遇回数で評価する疲労強度線図を提案した。また,特に疲労き裂伝播速度の評価に対しては新しく再塑性域発生荷重に基づく有効応力振幅を示した。 更に高信頼度設計には環境劣化に対する対応も重要で,船舶,海洋構造物の耐腐食性のために坊食電位法のための3次元BEM解析法を開発した。また実働期間中の部材群の信頼性評価を行うためパタ-ン認識を応用した疲労劣化度評価法あるいは定められた信頼度を維持するために最適な検査法についても検討した。
|