研究分担者 |
清水 正明 東京大学, 総合研究資料館, 助手 (50162714)
内田 悦生 早稲田大学, 理工学部, 助手 (40185020)
中野 孝教 筑波大学, 地球化学系, 助手 (20155782)
金田 博彰 東京大学, 工学部, 助手 (10092181)
鹿園 直建 東京大学, 理学部, 助手 (10011751)
|
研究概要 |
本年度は,研究開始の初年度であるため,日本各地の代表的スカルン型鉱床および関連する地質単位の実地調査・観測・試料採取をまず行い,引き続いて室内作業に入って,主としてスカルン形成の際の熱水溶液の起源と挙動,スカルン鉱物の成長過程の追求などについての具体的なデ-タの取得を開始した。合計13名によって有機的に行われており,全体の進行状況はほゞ予定通りで,主な作業と現時点での成果は以下のようにまとめられる。次年度も引き続き室内作業を中心に研究を進める一方,10月に山口大学において研究集会を開いて中間段階におけるまとめを行う予定である。 1.岩手県釜石鉱山,福島県八茎鉱山,岐阜県神岡鉱山,山口県下の小規模鉱山などの実地調査を行い,鉱床構成岩について産状を記載し試料採取を行う一方,周辺の岩石についても検討した。鉱床近傍だけでなく,熱水の活動を示す変質が多くの地域で検出され,鉱化の実態像の手直しが必要となってきた。 2.各スカルン鉱物についての化学組成上の特徴を主にEPMAにより検討を開始した。すでに一つの鉱床での変化範囲・手標本程度の中での変化範囲・各粒子内での変化範囲が,大きくは変らないことが,数鉱山の単斜輝石の検討から明らかになり,スカルン形成溶液の化学組成は一定でも局所的な沈殿による組成変化・湿度変化で,この現象がモデル化できることを分担者の一人中野が解析した。 3.数鉱山からの試料について硫黄・酸素・炭素・水素同位体比の分析が開始された。未だ予察的な段階ではあるが,鉱床として鉱量の多い大規模なものは,天水起源のものが多いようである。マグマ水起源では,鉱化流体の量が少なく,時間的な継続も期待できないことによるのであろう。これは鉱床学にとって重要な知見となりうる。
|