研究分担者 |
松枝 大治 北海道大学, 理学部, 助教授 (20108921)
内田 悦生 早稲田大学, 理工学部, 助手 (40185020)
中野 孝教 筑波大学, 地球科学系, 助手 (20155782)
金田 博彰 東京大学, 工学部, 助手 (10092181)
鹿園 直建 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (10011751)
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研究概要 |
三年間にわたる野外・室内研究により数多くの成果が得られたが,そのうちから特に主要なもののみを,以下にグル-プごとに記す。 1.鉱物相解析グル-プ,主要なスカルン鉱物(単斜輝石・緑簾石など)における固溶体内の組成変動は,各粒子内,手標本内,単一鉱体内ではほゞ同じであることが発見された。この事実はスカルン形成時に物質の輸送が浸透作用と拡散作用のバランスにより行われていることを示し、鉱物一溶液境界での局所変化が鉱物の化学組成に大きな影響を与えている実態が解明された。 2.流体包有物解析グル-プ。内外の主要なスカルンについて検討がなされ、一般にスカルンを形成する流体の温度範囲は500°ー200℃と広く,塩濃度にも大きな変化があることが明らかとなった。ガス分析では,CO_2のほかCH_4の存在も明らかにされた。この検討を通してスカルン鉱物中の流体包有物に初生的なものがよく保存されており,今後流体の水素同位体もこの流体包有物を用いて測定できる可能性が示された。 3.軽安定同位体・REE解析グル-プ.本邦の主要なスカルン鉱床の酸素同位体比の測定がすゝみ,特に鉱床として鉱量の多いスカルンは天水起源の熱水から形成されていることが明らかとなった。しかし,一方では都茂鉱床のようにかなり複雑な起源の熱水素の存在も明らかにされた。REEのパタ-ン解析ではREEの分布は鉱物沈澱時の物理化学的条件,特に酸素分圧が強い影響をもっていることが明らかになった。今後はスカルン鉱物中のREEパタ-ンは酸素分圧の良い指標となりうる。 4.広域地質対比・解析グル-プ.本邦のいくつかの主要鉱床に附隨するタングステンの鉱化は,重複鉱化作用としての共通の特徴をもつ。
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