熱CVD装置のシミュレ-ション

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01303009
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 加藤 邦夫 群馬大学, 工学部, 教授 (00008442)
• 研究分担者: 中山 司 中央大学, 理工学部, 助教授 (20144446) ; 宝沢 光紀 東北大学, 非水溶液化学研究所, 教授 (70005338) ; 橋本 健治 京都大学, 工学部, 教授 (20025919) ; 小宮山 宏 東京大学, 工学部, 教授 (80011188) ; 今石 宣之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (60034394)
• キーワード: CVD / 多結晶シリコン / エピタキシャル成長 / ウエハ- / 薄膜形成 / 超微粒子 / 自然対流 / シリコン化合物

研究概要

本研究課題を行うにあたって、研究組織を、熱CVD反応に関する反応速度の研究と、熱CVD装置の移動現象、装置特性を調べる研究に分けた。以下その概要を示す。
反応速度に関する研究として、小宮山らは、反応速度の情報に基づいて、SiH_4からSiの析出、炭化水素からダイヤモンドの析出に関する滞留時間と気相組成の関係を計算した。また、小宮山らが開発したmacro/microcavity法をSi,SiCの析出に適用し、成膜種が主としてどのような物質であるかを調べている。単結晶シリコン引き上げ原料用の多結晶シリコンはシランから製造されている。橋本らは、この反応を外壁水冷式棒状基板型二重管反応器を用いて行い、多結晶シリコン層の成長速度を種々のモデルを用いて解析し、数値的にシミュレ-ションしている。
CVD装置の移動現象、装置特性に関する研究では、加藤らは、垂直多葉型のCVD装置における一枚のウエハ内の膜厚分布を推定するためCVD反応の代理反応として、カ-ボン板の燃焼反応を行い、カ-ボン板の局所燃焼速度分布を測定することによって、この装置内での移動現象を解析するための流体モデルを提案した。今石らは、ホットウォ-ル式管型熱CVD装置および水平型熱CVD装置での成膜速度分布、熱や物質の移動を数値解析した。装置内での成膜速度分布におよぼす諸因子の影響を定量化している。宝沢らは、縦型高周波加熱CVD炉内での温度場の数値シミュレ-ションを行った。すなわち、炉内温度分布に及ぼす高周波コイルとサセプタ-の相対位置、コイル周波数などの影響を電磁場と温度場で数値解析することによって求めている。この知見より、サセプタ-の均一加熱条件を数値解析によって調べている。中山らは、熱移動と化学反応を伴う気体の非定常流れを有限要素法を用いて解析し、装置内での速度分布、反応物質の濃度分布を定量的に求めている。

研究成果

• [文献書誌] 宝田 恭之,織茂 洋二,鹿山 幸夫,加藤 邦夫: "垂直多葉型熱CVD装置内の物質移動現象" 化学工学論文集. 16. 597-604 (1990)
• [文献書誌] 佐藤 恒之,今石 宣之: "CVDに及ぼす気相および表面反応の影響に関する一考察" 化学工学論文集. 16. 483-486 (1990)
• [文献書誌] 橋本 健治,三浦 孝一,増田 隆夫,当麻 正明,沢井 宏之,河瀬 元明: "棒状基板型CVD反応器におけるシランからの多結晶シリコン製造反応の速度解析" 化学工学論文集. 16. 438-446 (1990)
• [文献書誌] 小山田 浩,霜垣 幸浩,小宮山 宏: "LPCVDの全圧による粉体・膜合成の制御ーSiH_4とC_6H_6によるSiCの合成ー" 化学工学論文集. 16. 463-469 (1990)
• [文献書誌] K.Watanabe and H.Komiyama: "Micro/Macrocavity Method Applied to the Study of the Step Coverage Formation Mechanism of SiO_2 Films by LPCVD" J.Electrochem Soc.137. 1222-1227 (1990)
• [文献書誌] Y.Egashira,K.Ikuta,K.Watanabe and H.Komiyama: "Mechanism of Step Coverage Formation of SiO_2 Films Studied by Micro/Macrocavity Method" Proceeding of 11th International Conference on CVD(CVDX1). 418-424 (1990)
• [文献書誌] 佐藤 恒之,湯浅 兵則,今石 宣之: "水平型熱CVD装置内における流動ならびに物質移動" 化学工学論文集. (1991)