研究分担者 |
大谷 元 信州大学, 農学部, 助教授 (30109201)
古川 徳 東京農業大学, 農学部, 講師 (10078149)
渡辺 乾二 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70023447)
伊藤 敝敏 東北大学, 農学部, 教授 (80005610)
片岡 啓 岡山大学, 農学部, 教授 (90032987)
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研究概要 |
今年度は主に 1.抗変異原性多糖生産菌のスクリ-ニングと分離株に対する培養法の確立 2.高抗変異原性、高抗腫瘍性活性を持つ微生物生産多糖の分画・精製および構造解析 3.微生物生産多糖投与による免疫賦活化作用について検討した。いずれの検討事項もほぼ予定どおり進行し、現時点で得られている結果は下記のとおり要約される。 1.インドネシア原産の伝統的発酵乳、ダディヒ、中国で入手したケフィア、フィンランドで入手した高粘質性発酵乳から菌株を分離し、同定した。いずれにおいても乳酸菌が主叢をなし、Leuconostoc dextranicum,Leu.paramesenteroides,Streptococcus lactis subsp.diacetylactis,Lactobacillus plantarum.Lb.jugurti,Lb.helveticus,Lactococcus lactis subsp.cremorisなどが主叢菌として分離、同定された。 2.上記の分離菌のうち、Leu.dextranicumとLeu.Paramesenteroisesは強い抗変異原性を示し、アミノ酸加熱分解物であるTrp-Pl,Trp-Pl,Glu-Plなどの持つ変異原性を顕著に減弱させた。この減弱機構はこれら菌株の細胞壁の変異原性物質に対する強い吸着作用によるものであり、細胞壁を構成する多糖類がその性質を有していることが示唆された。一方、Lb.jugurti,LB.helveticusおよびL.lactis subsp.cremorisに高い抗腫瘍性が認められた。これらの菌株から調製した菌体成分は例えば、Lewis肺癌細胞、Sarcoma 180などに対し抑制効果を示した。さらに、L.lactis subsp.cremorisの生産する粘質物の構成糖はラムノ-ス、グルコ-ス、グラクト-スおよびリンを含んだホスフォポリサッカライドであることが判明した。 3.ダディヒ、ケフィアから分離・同定したLeu.paramesenteroidesやStr.lactis subsp.diacetylactisアジュバンド効果を有することが鶏卵黄抗体量の測定から判明した。
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