研究課題/領域番号 |
01303012
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山根 靖弘 千葉大学, 薬学部, 名誉教授 (40009155)
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研究分担者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 教授 (30065916)
野路 雅英 名古屋市立大学, 薬学部, 助教授 (70080190)
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
横山 陽 京都大学, 薬学部, 教授 (90025685)
花木 昭 放射線医学総合研究所, 薬理化学部, 室長
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 制癌性金属錯体 / 白金錯体 / エルサミシンAー鉄錯体 / 脳血流診断薬 / ジメチルジチオセミカルバゾン銅錯体 / 酵素モデル金属錯体 / オキシダ-ゼモデル / Pー450モデル / P-450 model |
研究概要 |
制癌性白金錯体の合成とその作用機序の研究では、水溶性のcisーDiーaminocyclohexane(ascorbato)platinumがルイス肺癌などに対してcisーDiamminedichloroplatinum(CDDP)と同等以上の有効性を示し、腎毒性の軽減も認められた。1,3ーbisー(diphenylphosphin)propane(DPPP)をキャリア-リガンドとした〔Pt(DPPP)(1R,2Rーdach)(NO_3)_2が有効な抗腫瘍性を示し、広いスペクトルをもつことを認めた。ルテニウム、パラジウム金などの錯体も検討したが、CDDPほど有効なものはなかった。 抗腫瘍性抗生物質エルサミシンAー鉄錯体のDNAに対する作用を検討し、5^1GN部位を特異的に認識し、切断することを見出した。エルサミシンAのアミノ糖鎖の役割の一つとして、DNA結合能を制御する「スイッチ機能」という新しい考え方を提案した。 新しい放射性医薬品として、脳血流診断薬の開発を行い、銅の放射性核種であるCuー62を利用した標識体を合成した。すなわち血中のみならず組織中でも安定な銅の配位が期待できるジメチルジチオセミカルバゾン構造を選択し、これに導入するエステル基としてエチルエステル基とアセチルエステル基を用いた。これらの銅キレ-ト部位の安定性とエステル部位の代謝反応性についても確認を行い、ドラックデザインに意図されたような脳内滞留性挙動が示されるのを認めた。 生体内金属の作用モデルとして、金属含有酵素の化学モデル研究を行った。生体内抗酸化剤を電子供与体とした金属錯体による酸素分子の活性化に関する研究で、オキシダ-ゼのモデル反応として、銅(11)錯体を触媒としたシステイン及びグルタチオンの自動酸化システムを確立した。また金属ポルフィリンーチオレ-ト錯体がベンゼン溶媒中で、オレフィン化合物であるシクロヘキセン、スチレンあるいはオレフィン酸エチルなどを効率よく位置選択的に酸素化を行うことを見出した。
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