研究分担者 |
橋本 葉子 東京女子医科大学, 第一生理学, 教授 (90075218)
根岸 晃六 金沢大学, 医学部, 教授 (00019572)
近藤 尚武 東北大学, 医学部, 教授 (20004723)
斉藤 多久馬 自治医科大学, 解剖学第一, 教授 (40090419)
外崎 昭 山形大学, 医学部, 教授 (90004572)
|
研究概要 |
脊椎動物網膜は形態と機能の解析のモデルとして,今世紀初頭より多くの研究者の研究対象となってきた。電子顕微鏡にかかわる手技または生理学的手技の進歩はこの古くて新しい研究対象の再検討を求めている。このコンセプトの基に開始された総合研究班は昨年夏,国立岡崎共同研究機構で第一回の会合をもち,その成果は生理学研究所報に掲載されている。その概略は次の通りである。 1.視覚発現に重要な支持細胞である色素上皮細胞の単クロ-ン解析をはじめた(廣澤)。視細胞の系統発生学的研究は抗ロドプシン抗体と抗ビシニン抗体により行われ,桿状体および錐状体細胞の識別が可能となった(外崎,徳永)。視細胞円板膜中の酵素を急速凍結置換法により,染め出すことに成功し,cGMPカスケ-ド酵素群の解明の途が開けた(斉藤)。シナプスレベルでは急速凍結法によりシナプスリボンを中心とする細胞骨格系が明らかとされつつある(臼倉)。光受容タンパクの生体膜中への出現と合成時期とのずれの解明が行われた(近藤)。 2.生理学的手技をとり入れた形態解析は,魚類の視細胞種の同定(橋本),魚類のアマクリン細胞間に線維網が形成されていること(根岸)などが示された。 3.色素情報処理に関する研究は錐体細胞間のシナプス結合の発見(大塚)とコンピュ-タシミレションによる神経節細胞の色覚処理機構の解明(臼井)が行われた。 4.上記以外に,神経節細胞再生の基礎実験(田内),視覚中枢投射の再構築(伊藤)および明期暗期での松果体細胞活動の変動(松嶋)などが報告された。 平成2年度も1回の研究集会を夏期に開催する予定である。
|