研究概要 |
平成元年度の正常値の設定に引続き以下の研究を行なった。 A.工業化学物質の気中濃度と暴露者の尿中濃度の関係;(1)本年度は新たに(a)クロルベンゼンの気中濃度と尿中4ークロロカテコ-ル,及びパラクロロフェノ-ル濃度の関係(b)nーヘキサンの気中濃度と尿中2,5ーヘキサンジオンの尿中濃度の関係(c)メチルイソブチルケトン,メタノ-ル,イソプロピルアルコ-ルの気中濃度と尿中濃度の関係,について個人暴露濃度,尿中の代謝産物または溶剤濃度を測定後,両者間の相関係数を算出し,よい相関を認めた.また,(2)本研究者の従来の報告を参考として日本人について,(a)有機溶剤(トルエン,キシレン,スチレン,トリクロロエチレン,フェノ-ル)の気中濃度と尿中代謝産物濃度の相関及び(b)有機溶剤(メチルエチルケトン)と尿中溶剤の相関(c)重金属(鉛,カドミウム)の気中濃度と血中濃度の相関を求めた.更に,(d)血中鉛濃度と尿中δーALA濃度及び(e)尿中カドミウム濃度と尿中β_2MG濃度の相関を求めた.そして,これらの成績を欧米のそれと比較し,欧米の成績を我国に適用する際の妥当性について検討した. B.生物学的モニタリングに対する影響要因;尿中測定対象物質濃度に対する(1)尿量の変動の影響と,それに対する濃度補正法(比重補正法,クレアチニン補正法,時間補正法,尿量補正法)の妥当性を比較検討した.また,(2)体格,(3)飲酒の影響(抑制と促進影響)及び(4)混合溶剤暴露の際の成分溶剤の相互影響の有無,(5)日本人,中国人,韓国人(トルエン対尿中馬尿酸濃度 トリクロルエチレン対尿中代謝産物濃度)の回帰直線の勾配についての人種差を考察した. C.生物学的モニタリングと衛生管理;工業化学物質取扱い作業者の衛生管理に於ける生物学的モニタリングの意義について検討を行なった.
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