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1990 年度 実績報告書

局所進行がん治療における陽子線治療の適応選択に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01304039
研究機関筑波大学

研究代表者

辻井 博彦  筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50088853)

研究分担者 橋本 省三  慶応大学, 医学部, 教授 (40050348)
鎌田 力三郎  日本大学, 医学部, 教授 (00058835)
坂本 澄彦  東北大学, 医学部, 教授 (20014029)
入江 五朗  北海道大学, 医学部, 教授 (30001788)
阿部 光幸  京都大学, 医学部, 教授 (00025587)
キーワード陽子線治療 / 放射線治療 / 線量分布 / 粒子線 / 密封小線源 / 術中照射 / 原体照射 / 根治照射
研究概要

陽子線の利点は、周辺正常組織に余り障害を与えないで、癌病巣のみ集中的に狙い撃ちにできることである。本研究の目的は、現在臨床的有用性が認知されている各種放射線療法の適応疾患や問題点を検討することにより、陽子線の適応疾患や照射法を確立しようというものである。
(1)筑波大学の陽子線治療は、肺、食道、肝、子宮、膀胱、前立腺、頭頸部などに対して有効であった。しかし、神経膠芽腫、膵、胆管、骨・軟部組織などは、今後の課題として残された。治療精度向上のため、呼吸同期照射や患者固定法などの開発が重要であった。(2)高LET放射線の速中性子治療の分析から、線量分布の重要性が明らかにされ、陽子線の優位性が示された。(3)陽子線は、密封小線源と同様に頭頸部や子宮癌に有用であるが、外照射である分適応範囲はさらに広くなると思われた。特に、子宮頸癌IIIb期の大型、6cm以上の肺癌、高齢者の食道癌などの根治照射、及び直腸癌術前照射、胆道癌術後再発の根治照射などで有効性が期待された。(4)術中照射に関する検討から、陽子線の適用として、限局性肺癌、食道癌、膵癌、直腸癌、前立腺癌、胆管癌のうち小容積で手術不能例が挙げられた。(5)原体照射の適応は、脳神経膠芽腫、肺癌、膵癌、胆道癌などで、これらはそのまま陽子線の適応と思われた。DVH解析による比較検討により、陽子線の線量分布の優位性が立証された。(6)温熱療法は頸部リンパ節転移、乳癌の進行例や胸壁再発などに有効であるが、深部腫瘍の適応は決め難く、陽子線治療との関連も明かにし得なかった。(7)線量分割法の研究から、短期小分割照射法、Field in field法、不均等照射法が、陽子線にも有効である可能性が示された。(8)薬物との併用で問題となるのは正常組織の増感作用であるが、陽子線は病巣選択性が良いので併用効果が期待できた。以上、本研究で得られた結果は、一般の放射線治療にもそのまま当てはめることができる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "重粒子線治療" Innervision. 4(1). 35-38 (1989)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "陽子線治療ー世界と日本" 医学のあゆみ. 150(14). 1044-1047 (1989)

  • [文献書誌] H.Tsujii,H.Tsuji,T.Inada,et.al.: "Clinical results of high energy proton radiotherapy at Tsukuba." Proc.of Int.Heavy Particle Therapy Workshop. 90-94 (1989)

  • [文献書誌] 辻井 博彦,辻 比呂志: "放射線治療向上のための諸因子" 癌の臨床. 36(13). 2393-2397 (1990)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "陽子線治療法" Innervision. 5(8). 16-19 (1990)

  • [文献書誌] 辻井 博彦: "新しい治療法ー陽子線治療" NHKきょうの健康. Vol.1. 128-129 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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