咀嚼システムの統御機能に関する総合的研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01304045
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 窪田 金次郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (00013805)
• 研究分担者: 金光 晟 東京大学, 医学部, 教授 (70108281) ; 星 猛 静岡県立大学, 食品栄養科, 教授 (60004537) ; 斎藤 滋 神奈川歯科大学, 教授 (80084713) ; 船越 正也 朝日大学, 学長 (10075989) ; 中村 嘉男 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10010026)
• キーワード: 咀嚼システム / 咀嚼情報 / 眼窩下神経切断 / 大脳皮質咀嚼野 / 生体の液性調節 / 顎運動様式 / 歯周組織細胞の代謝 / 骨芽細胞分化

研究概要

窪田・石川・船越・星・中村・斎藤・二宮・金光・柴内らを中心に討議を重ねた上、平成3年度発足重点領域「咀嚼情報と生体調節機構」の研究計画を策定(平成2年3月1日申請書提出)すると共に、咀嚼システムの統御機能に関して次のような研究成果を得た。
眼窩下神経をマウス新生仔で切断した。感覚入力系は変性し、切断動物は、正常動物に比べて、小型化し、体重は20〜30%減少し、発育・成長の遅れが顕著であった(窪田、柴内)。大脳皮質咀嚼野から咀嚼パタ-ン発生器への入力機構の形態学的背景がHRP法で判明した(中村)。大脳皮質性誘発舌顎運動中、開口優位性顎運動では舌尖の前後運動が、閉口優位性顎運動では舌体の上下運動が基本となる(森本)。舌下・三叉神経運動ニュ-ロン切断後の筋と再結合あるいは未結合細胞の興奮性は筋情報に依存する(高田)。三叉神経運動核へのHRP注入で大細胞性網様体核外側半と小細胞性網様体核ニュ-ロンを標識した(金光)。咀嚼における顎運動パタ-ンの学習機能をもった3自由度咀嚼ロボットを開発した(高西)。重力負荷を除去した下顎骨の酵素活性、蛋白合成能・DNA合成は数日で著明に低下した(星)。味刺激で誘発される2種(ingestiveとaversive)の顎運動様式は強さの異なる機械的刺激を口蓋に加えた時誘発される2種の運動様式と一致した(二宮)。歯周組織細胞の代謝に関与する物質を同定し、疎水性物質(分子量10k)が細胞接着と増殖に関わる(斎藤)。骨芽細胞との接触と被覆小窩による取り込みが、破骨細胞の分化・活性化に関与する(小沢)。加圧下で産生されたPGE_2が骨芽細胞分化を抑制、骨髄細胞からの破骨細胞分化を促進した(須田)。深海底生息の白ウリ貝のエラからこれに有機物質を供給するらしいThiobacillus属のカン菌を得た(大島)。

研究成果

• [文献書誌] 窪田金次郎: "咀嚼システムからとらえたデンタル・インプラントへの疑問" 日本歯科評論. 566. 87-104 (1989)
• [文献書誌] Kurasawa,I.,Toda,K.and Nakamura,Y.: "Non-reciprocal facilitation of trigeminal motoneurons innervating jaw-closing and jaw-opening muscles induced by iontophoretic application of serotonin in the quinea pig" Brain Research. (1990)
• [文献書誌] Shigeru Saito: "Effect of mechanical force on periodontal ligament cells" Wissenschaftliche Zeitschrift der Humboldt-Universitat zu Berlin. 3. 259-263 (1989)
• [文献書誌] Yamaguchi,M.,Ozaki,K.and Hoshi,T.: "Simulated Weightlessness and bone metabolism:Decrease of alkaline phosphatase activity in the femoral diaphysis of rats" Res.Exp.Med.189. 331-337 (1989)
• [文献書誌] Irie,K and H.Ozawa.: "Relationships between tooth eruption,occlusion and alveolar bone resorption:Cytological and cytochemical studies of bone resorption on rat incisor alveolar bone facing enamel." Arch.Histology&Cytology. 53. (1990)
• [文献書誌] Yuzo Ninomiya: "Strain of isoproterenol treatment on qustatory neural responses in three inbred strains of mice" Comp.Biochem.Physiol.94-2. 263-267 (1989)
• [文献書誌] 船越正也: "病態口腔生理学" 学建書院, 200 (1990)
• [文献書誌] T.Oshima: "Biochemical functions of unusual polyamines found in the cells of extreme thermophiles.In:The Biology and Chemisty of Polyamines" ICSU Press/IRL Oxford, 10 (1989)