研究課題/領域番号 |
01304048
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森岡 俊夫 九州大学, 歯学部, 教授 (00028721)
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研究分担者 |
前田 三男 九州大学, 工学部, 教授 (80037910)
庄司 茂 東北大学, 歯学部, 講師 (10142986)
熊崎 護 大阪歯科大学, 助教授 (80066985)
谷 嘉明 京都大学医用高分子研究センター, 教授 (90026881)
松本 光吉 昭和大学, 歯学部, 教授 (70119171)
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キーワード | 低エネルギ-・レ-ザ- / エナメル質耐酸性 / 歯髄の石灰化 / 象牙質知覚過敏 / 鎮痛効果 / 初期齲蝕の進行抑制 |
研究概要 |
口腔領域の主な疾病は硬組織のものであり、齲蝕、象牙質知覚過敏、歯質刺激による歯髄の異常反応などの処置は歯質を削除することによってなされてきている。本研究はそれら歯牙組織の疾患をレ-ザ-の光学的特性を用いて歯質の削除なしに処置しようとするもので、エナメル質への耐酸性を含め高度な先進医療医術の一つとして研究を進めたものである。 本年度に新たに得られた知見は次の通りである。 1.初期齲蝕病変を生じたエナメルにエネルギ-密度30J/cm^2で0.5秒間照射すると、酸溶液中においてもCa^<2+>の溶出は明らかに抑制された。レ-ザ-照射後に酸性フッ素リン酸溶液に5分間浸漬するとCa^<2+>の溶出は著しく抑制され相加効果が認められた。この場合エナメル質表層へのフッ素の取り込みを電子線マイクロアナライザ-で調べると、表層約10μmに極めて高い濃度のフッ素が存在することを認めた。 2.歯面にレ-ザ-照射をすることによる歯髄への影響を調べたところレ-ザ-の刺激により歯髄に石灰化が生じる。この石灰化はCO_2,Ar,YAGの各レ-ザ-によって石灰化様式に違いがみられた。この場合石灰化に密接な関連を有する歯髄のアルカリフォスファタ-ゼの活性化は認められなかったことから、歯髄の硬組織化の主な原因は熱的刺激であると考えられた。 3.象牙質知覚過敏を訴える症例にHe-Neレ-ザ-を照射すると疼痛の緩和ないし消失がみられた。この場合歯髄の電気診により痛み知覚閾値を測定するとレ-ザ-照射前と照射後では明らかに閾値の変動が認められた。しかし、歯髄が全く健康である場合には、殆どこの変動は観察されなかった。以上のことより、レ-ザ-は病的な状態にある歯髄にのみ作用することが示唆された。
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