研究課題/領域番号 |
01400003
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
徳岡 隆夫 島根大学, 理学部, 教授 (30025358)
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研究分担者 |
田中 義昭 島根大学, 法文学部, 教授 (70144681)
国井 秀伸 島根大学, 理学部, 講師 (70161651)
鈴木 徳行 島根大学, 理学部, 助教授 (00144692)
高安 克己 島根大学, 理学部, 助教授 (00127490)
大西 郁夫 島根大学, 理学部, 教授 (40032445)
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キーワード | 中海・宍道湖 / 完新世地史 / 自然環境学 / IGBP / 風土記(奈良)時代 / 花粉分析 / 歴史考古学 |
研究概要 |
風土記時代の総体的復元のために、主に中海東部から米子湾で柱状採泥を10数地点で実施し、花粉・珪藻・有孔虫・貝形虫・貝についての検討を行ない、湖底環境変化についての資料を得た。従来からこの時代に弓ケ浜頸部において海が浸入していたとの見解は各種の生物遺骸群集の種構成からみると疑わしく、この部分が開口していたのはより古い時代であろう。奈良時代の開口部はより北方に求めるのが妥当であることが今年の調査結果から明らかとなった。とくに花粉分析の結果から完新世の山陰地域の植生変化が5帯に区分されたことは、年代尺度として花粉帯が利用できることとなり、今後の研究の進展にとって重要な成果である。宍道湖においては、柱状採泥の実施とともに湖底ボ-リング資料の花粉・珪藻・有孔虫分析がなされた。その結果、完新世中期の繩文海進高揚期の宍道水道の存在は短期間であり、斐伊川による堆積が急速に進み、東西2つの水域へと分れたことが明らかになった。地質・物理・考古・歴史にまたがる分野の研究としては、中海周辺地域の奈良時代遺跡の広範な踏査および安来の清水寺改修に伴う発掘調査の検討を行ない資料の収集を行なった。これら以外の歴史、地域社会、生態、分析化学分野でも実施計画に従った調査が順調に進行した。本研究においては経費配分の都合から2年間を前半としてまとめる計画であるので、調査結果の主要部分のまとめは次年度とする。また今年度に計画した八束町江島における発掘調査は概査にとどまり、総合的な発掘は次年度5月に実施することとなった。米子湾および本庄工区の湖底および水質調査は今年準備が完了し、経費節約のためもあって次年度5月に民間委託をおこなって実施できることになった。研究討論は研究員間のもののみならず、地質学会湖沼シンポジウム、山陰地域研究総合センタ-の公開討論会などを行ない、総合的研究として進行した。
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