研究分担者 |
田中 義昭 島根大学, 法文学部, 教授 (70144681)
三瓶 良和 島根大学, 理学部, 助手 (00226086)
鈴木 徳行 島根大学, 理学部, 助教授 (00144692)
高安 克巳 島根大学, 理学部, 助教授 (00127490)
大西 郁夫 島根大学, 理学部, 教授 (40032445)
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研究概要 |
中海飯梨川河口に前年度末に世界で2例目のマッドランプが出現したことにより,今年度はその総合的な調査に研究の重点をおくことになった.この現象を正確に把えることができたのは,平成元年度からの本研究とその前(60ー63年)の一般A(代表 三梨 昂)による中海・宍道湖の研究で湖底堆積層の音波探査が全域にわたって実施されていたことによるものである.湖底堆積層の研究として飯梨川河口デルタの地形とボ-リング及びスウェ-デン式サウンデイング調査,マッドランプ島の地質調査,周辺海域の精密音波探査,採泥,潜水調査が実施された.これらによってマッドランプの形成が河口デルタの急激な発達によって下位の湖底泥層が円弧すべり状に上昇したものであることが明らかにされた.ボ-リングによってアカホヤ火山灰層が2回繰り返していることが確認され,泥層中にスラスト面が形成されていることも確認された.広範な聞込み調査からはこの現象が昭和30年代末まで河口デルタの前進とともにその前面に起こっていたことが明らかになり,昭和22,29年の空中写真によってもその存在が確認された.マッドランプはミシシッピ川河口に起こる現象として知られているが,その形成メカニズムの再検討が必要となった.考古学分野においては,猿ケ鼻洞窟遺跡新の近くに新たに発見された地点の予察的な地形調査と発掘が試みられた.湖底堆積層の研究から明らかにされる完新世地史と本遺跡の縄文後期以降のーとくに風土記(奈良)時代以降の海面変動ー生活面の復元から精密な海面変動を明らかにし,IGBPのPAGESに貢献できる見通しが得られつつある.地質と歴史考古学を柱とした本研究が中核となって推進した島根大学の省令施設としての汽水域研究センタ-の概算要求が認められたことから,次(最終)年度で本研究の目標である中海・宍道湖の将来予測をまとめる展望が開かれた.
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