研究課題/領域番号 |
01400004
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
片岡 喜由 愛媛大学, 医学部, 教授 (20025589)
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研究分担者 |
中村 洋一 愛媛大学, 医学部, 助手 (90180413)
三谷 章 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50200043)
新井 達潤 愛媛大学, 医学部, 教授 (50033436)
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キーワード | 虚血 / 遅発性ニュ-ロン死 / グルタミン酸 / アスパラギン酸 / 海馬 / カルシウム / マイクロダイアリシス / グリア細胞 |
研究概要 |
1.スナネズミの海馬CA1領域に慢性電極を挿入し、約100時間にわたって自発放電の推多を記録した。5分間前脳虚血とその後の十数分の放電停止の後、一見虚血前レベルに快復したかに見えた自発放電は、既に報告された過興奮現象を示すことなく徐々に小さくなり、80時間ほどで全く見られなくなった。虚血ニュ-ロン死に過興奮現象は必要条件とならないことが証明された。 2.脳温を正確に37℃に維持した状態でスナネズミ海馬に遅発性ニュ-ロン死を誘発させる必要な一過性虚血時間は、3分で充分であることが明らかとなった。 3.遅発性ニュ-ロン死の初期過程にみられるグルタミン酸の大量放出は、海馬CA1とCA3領域の間でその程度に差を認めず、CA1の領域特異的脆弱性をグルタミン酸放出量で説明し得ないことが微少循環法で明らかとなった。また、このグルタミン酸がどこから放出されるのかを明らかにするべく、培養ニュ-ロン及びアストログリアを用いて検索したところ、低酸素低グルコ-ス負荷により、アストログリアが大量のグルタミン酸とアスパラギン酸を放出することが観察された。 4.軽度低脳温のニュ-ロン保護作用をスナネズミ海馬切片のカルシウムーマイクロフルオロメトリ-を用いて分析した。低酸素低グルコ-ス負荷で誘発されるCA1領域特異的な細胞内カルシウム濃度上昇潜時は、潅流温度を2〜4℃降下させると顕著に温度依存的に延長することがわかった。この潜時延長は、薬剤のニュ-ロン保護効果のスクリ-ニングに用いられることも明らかとなったので、従来より虚血耐性の薬効が報告されてきたアデノシン作物薬プロペントフィリンと、酸性線維芽細胞増殖因子について検索したところ、両物質ともに上の潜時を著明に延長することが示され、これらのニュ-ロン保護作用を側面より支持する結果となった。
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