研究課題/領域番号 |
01400004
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
片岡 喜由 愛媛大学, 医学部, 教授 (20025589)
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研究分担者 |
楠崎 幸作 愛媛大学, 医学部, 助手 (70093929)
中村 洋一 愛媛大学, 医学部, 助手 (90180413)
三谷 章 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50200043)
新井 達潤 愛媛大学, 医学部, 教授 (50033436)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 虚血 / グルタミン酸 / カルシウム / 低脳温 / 海馬 / 膜電位 / 遅発性ニュ-ロン死 / ニュ-ロン保護 |
研究概要 |
脳卒中や一過性心停止の結果として現出する高次脳機能障害や脳血管性痴呆は、大量の虚血性ニュ-ロン死がその実体である。本研究の目的はこの虚血性ニュ-ロン死の機構を明らかにすることにあり、スナネズミ海馬ニュ-ロンを一貫して用いつつ電気生理学的・生化学的・形態学的手法を駆使してその分析を行った。特に細胞内カルシウムの経時的変動を海馬全面で追跡する微小蛍光分析や、マイクロダイアリシスと酵素循環法を組み合わせた細胞外グルタミン酸濃度の超微量分析、スナネズミ海馬ニュ-ロン自発放電の長期記録、培養ニュ-ロンやアストログリアの低酸素負荷などは本研究を遂行する過程で新しく開発されたもので、関連分野へ資するところも大きいと思われる。さて、3年間にわたる本研究から得られた成果は次のように集約される。1.虚血時ニュ-ロン活動は全く停止するが、膜電位はむしろ過分極の状態が続き、数分の潜時を経て急激な脱分極となる。従来は、血液再潅流後におこる過興奮現象がニュ-ロン死の直接の原因であると主張されていたが、これは否定されるべきである。2.虚血負荷直後に大量のグルタミン酸放出がおこるが、これは領域特異性がなく、またこのグルタミン酸の一部はアストログリアに由来する。したがって、このグルタミン酸が直接ニュ-ロン死を誘発するものではなく、上の脱分極と期を一にする領域特異的な細胞内カルシウム上昇が重要な因子であると思われる。カルシウムは、細胞外と細胞内貯蔵の両者が相互に作用し合いながら動員されると考えられ、この機構の解明が今後に残された大きな課題である。虚血ニュ-ロン死を防禦する方策として登場した軽微低脳温は、グルタミン酸放出とカルシウム濃度上昇の両者に対し抑制効果を示すところまで明らかとなった。
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