研究概要 |
平成元年〜2年度で確立した,“エマルションー溶媒ー拡散法"により,微小中空浮遊型デバイスを調製し,inーvivoにおける薬物の放出,吸収試験と浮遊挙動の評価を中心に研究を行なった。3年間の研究成果のまとめと,本法の新展開を計るべく,他のドラッグデリバリ-デバイスへの応用研究も行なった。 モデル薬物とし技,トラニラスト,イブプロフェンを使用した。薬物とアクリル酸系高分子をエタノ-ル・ジクメルメタン混液に溶解し,これを,ポリビニルアルコ-ル又はショ糖脂肪酸エステル水溶液に分散し,エマルションを形成させた。エマルション滴からエタノ-ルを拡散除去,続いてジクロルメタンを,拡散・蒸発させ目的のマイクロバル-ンの原形を得た。トラニラストを含有したマイクロバル-ンをビ-グル犬に投与(経口)し,血中濃度の推移を解析した。血中濃度プロフィルは,初期の誘導期を経過後,徐放化パタ-ンに見られる挙動を示した。この結果は,マイクロバル-ンにX線造影剤(硫酸バリウム)を封入し,ヒトに経口投与後,浮遊状態をX線撮影しモニタ-した結果とも符合する。マイクロバル-ンの消化管内挙動を,γー線シンチグラフィ-により精査する所期の実験は,設備が不十分で行なうことができなかった。設備の整備された他研究機関との試験研究で将来目的を完逐したい。 本プロジェクトで確立された。“エマルションー溶媒ー拡散法"は,他のドラッグデリバリデバイスの開発にも応用ができることを明らかにした。デバイスがスポンジ状のマイクロフィア-の調製,直接打錠が可能な薬物結晶のザデインがそれらである。マイクロスフィアは,内部空孔径や容積を任意にコントロ-ルできるので,薬物放出制御を自由に設計できることが明らかになった。スポンジ構造であるので,圧縮成形性に優れるこも判明した。本法は,製剤設計,粒子設計法としても有用である。
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