研究分担者 |
清水 透 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (60014453)
山之内 靖 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (60014429)
増谷 英樹 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (50083225)
上村 忠男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (70107829)
二宮 宏之 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40014427)
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研究概要 |
共同研究の2年目である本年度は,平成2年度予算の執行時期が例年より遅れるという予期せぬ事態のなかで活動計画を練り直す必要が生じたこともあり,全体的な研究活動は9月以降となった。3年間の中間点にあたる10月31日には,これまでの研究活動の整理と残る期間の長期的見通しをめぐる全体の打ち合わせ会を開いた。 今年度の具体的研究活動としては,9,10月の小研究会を踏まえ,12月と1月に以下の2回の全体研究会をもった。 (1)1990年12月17日 「歴史研究の方法としての『ネ-ションとエトノス』(2) 〈報告〉八尾師誠「二宮宏之氏の『エトノス』論を巡って」,小澤弘明「ネ-ションとエトノスー東欧史研究から考えてー」 (2)1991年1月15ー17日 「都市におけるエトノスの比較研究(2)」 〈報告〉金七紀男「17世紀ポルトガルの新キリスト教徒」,増谷英樹「世紀末ウィ-ン文化とユダヤの同化問題」 (1)ではまず,日本におけるフランス「社会史」研究の先駆的研究者二宮氏の近業を整理し,その新しい視角と方法論を具体的作品のなかで検討した。報告後の討論は,フランス「社会史」が生み出している新しい方法論的成果を,いかにしてヨ-ロッパ各国の多様な歴史的・今日的状況に応用してゆくかという問題をめぐって展開された。続く小澤氏の報告は,この問題を東欧史研究から検討したもので,東欧における「ネ-ションとエトノス」の重層的なあり方が指摘された。(2)は昨年度のベルリンの事例研究に引き続き,「ネ-ションとエトノス」の問題が集約的に現出する都市としてリスボンとウィ-ンを取り上げたものである。計画では今年度にはさらに現代のネ-ションとエトノスの問題である「外国人労働者問題」をも対象とする予定であったが,諸般の事情で充分に果たすことが出来なかった。来年度の課題としたい。
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