研究概要 |
今年度の発掘調査は,大室古墳群中のムジナゴ-ロ単位支群第200号墳および第201号墳について実施した。以下,発掘調査の結果について概要を報告する。 (第200号墳)林道開削によって墳丘の一部分が破壊を受けているために,墳丘の正確な規膜は不詳であるが,露出している石室を中心に計測すると,直径13m前後の不整形な円墳と考えられる。墳丘は10cmほどの礫を混じた盛土による,いわば土石混合墳丘であると思われ,墳裾に2段の石積を施しているが,石室羨道入口部分では,墳裾が直線的に構築されているのが特微的である。石室は,やや胴張りを置する横穴式石室で,全長6.4m,玄室長4.2m,玄室最大幅は2.1m,羨道幅1.4mははかる。副葬品は,トンボ玉2,銅釧1,勾玉2,耳環3,大刀責金具,鞘尻金具などである。また,石室前庭部より須恵器,土師器の出土をみた。 (第201号墳)大室谷の埴林開墾時に,墳丘が削平されたらしい。残存する墳丘封土からみると,直径10m前後の円墳と推定された。墳丘封土は,土石混合で構成されているが,墳裾は60〜80cmほどの自然石角礫を用いている。石室は,胴張形横穴式石室である。石室全長は2.3m,最大幅1.2m,羨道幅1.1mをはかる。羨道閉塞には20〜30cmほどの角礫を用い,入口部分で平石を立て架けているのが特微的である。副葬品としては,大刀1,鉄鏘28,刀子4がある,遺骸1体分が遺存じていた。なお,石室前庭部から須恵器,土師器が出土した。 両古墳については,平成3年度の調査で全てを完了できなかった。継続して平成4年度に発掘調査を実施する予定である。
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