研究課題/領域番号 |
01410012
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小林 三郎 明治大学, 文学部, 教授 (90061928)
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研究分担者 |
石川 日出志 明治大学, 文学部, 助教授 (40159702)
大塚 初重 明治大学, 文学部, 教授 (00061771)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1992
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キーワード | 大室古墳群 / 積石塚古墳 / 合掌形石室 / 竪穴式石室 / 横穴式石室 / 土師器 / 馬具 / 須恵器 |
研究概要 |
本研究チームによる長野市松代町大室古墳群の調査は1984年から開始され、1992年度は第10次調査となる。調査は大室古墳群の中でも大室谷支群という地区を対象とし、大室谷支群でも村東単位支群・大石単位支群を経て、1988年度からムジナゴーロ単位支群の調査を行なってきた。これまでの3単位支群の調査で得られた成果は次のとおりである。 (1)大室古墳群は5大支群に分割でき、各支群は立地と群構成に違いがある。そして各支群は20〜30基ずつのまとまりある単位支群複数からなる。 (2)各単位支群は、合掌形石室をもつ積石塚古墳を核として成立しており、出土品からみて、その時期は西暦5世紀中頃である。 (3)合掌形石室に次いで箱形石棺(185号)や竪穴式石室(195号)が出現する。これらは伝統的な積石による墳丘構造を保持している。墳丘裾部に底部穿孔壺形土器を配し、ときには初期馬具を副葬している。5世紀後半〜6世紀中頃と年代づけられる。 (4)横穴式石室採用の厳密な時期は不明だが、墳丘に積石を用い、板石を立てて側壁とする横穴式石室墳(187号)が最初期のものと推定される。 (5)典型的な横穴式石室墳は、以上と違って土石混合で墳丘が構成される。墳丘裾部と横穴式石室の周囲に石垣状の石積みを施し、その内側に角礫を混じた土を入れて墳丘を築く。横穴式石室は第187号墳以外は両袖型である。6世紀後半〜7世紀代の年代に構築されたものである。 墳丘構築法が積石から土石混合へ、石室が合掌形・箱形・竪穴式石室から横穴式石室へと変化するが、これは善光寺平の古墳の変遷のなかで重要な画期と認められる。これがどのような歴史事象を反映しているのか、今後の大きな課題といえよう。
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